飛行船 ブログ用.jpg 「何やこの写真は?」と思う人も多いのでは? これは10月12日早朝、バグダッド・チグリス川に面するホテルから撮影した、米軍の無人飛行船である。前日自動車爆弾テロがあったあたりの上空にプカリと浮いていた。 米軍は、バグダッドの市民生活を、このようにモニタリングしている。 不気味である。そして現代の戦争を象徴している。 無人なので、この飛行船を攻撃しても、米兵は死なない。おそらく直近の米軍基地から、リモコンで操作している。 いまや無人戦闘機が、空爆する時代だ。もうすぐ「無人戦車」が実戦で活躍する時代に入るだろう。 そうなれば、兵士はさらなる「テレビゲーム感覚」で闘うことになるのだろう。 もしかすれば、テレビゲームが得意な日本人が、自衛隊で米軍と協力して、「リモコン操作」で戦果を挙げていくことになるのかもしれない。「オタクの戦争」。かなりブラックな、ジョークみたいな話だが、次の戦争はこの方向に進む。 オバマで方向が変わればいいのだが。


アリー君と 1.jpg 数日前に、アリー君のことを日本の皆さんに伝えないといけないと感じ、未熟なネット知識の元に、写真をアップしたのだが、大きすぎて、うまく入らなかった。本日再度アップする。 アリー君は10月16日早朝に、私の宿泊する「ハムダニーヤ総合病院」にやってきた。「日本人が泊まっている」といううわさを聞いて、父親が彼を連れてきたのだ。 ビックリした。劣化ウラン弾と思われる被害者の子どもたちを、たくさん取材してきたが、そのたびに驚かされるし、この結果責任の残酷さに、絶句してしまう。 「テロとの戦い」「アメリカこそ正義」とブッシュ大統領は、イラクに侵略したが、その結果責任を問われずに、かれは政界から引退する。 おそらくブッシュは今後、「史上最低の大統領だった」という評価を受けるのであろうが、しかしこの子は、ブッシュが亡くなった後も、ずっと生き続けていく。 「将来は何になりたい?」と聞くと、「医者になって僕のような子どもを救いたい」と答えるアリー君。 成績は優秀だが、この姿のために、しばしばいじめられることもあるようだ。 何年か先、この町で、困難を乗り越えて医者になったアリー君と出会いたい、と心の底から願う。


顔面ゆがんでいる 2 burogu.jpg

ムハンマド君(3)とは、ハムダニーヤ病院の玄関前で偶然であった。テレビ用に、病院玄関前で「ここはモスル近郊…」としゃべっていたら、母親に抱きかかえられて、この子が通りがかった。
やはり息を呑んだ。「何や?どうして?」という疑問しか浮かばなかった。
イラク北部のドホークという街で診察してもらったが、「イラクでは治らない」「戦争が原因だろう」と言われた。
彼の兄は6歳で正常。イラク戦争前に生まれている。おそらく劣化ウラン弾の影響だろう。
米軍は、モスルに対してもかなりの量の空爆を行った。モスルは今、最もテロが起こりやすい街で、今後も「アルカイダがいる」と、空爆するだろう。
モスルは、バグダッド、バスラに次ぐイラク第3の都市。この3都市ともに、ウランと化学物質、重金属の毒性などで「複合汚染」されている。
被害はどこまで拡大するのだろう…。


劣化ウランダンデ 皮膚がん? 2.jpg


カトリーンちゃん(10)に出会ったのは、モスル郊外のハムダニーヤ総合病院。左足に巻かれた包帯がほどかれた時、ハッと息を呑んだ。
これは何らかの衝撃がかかって、皮膚が削り落とされたのではない。生まれつき皮膚が完成しておらず、内部組織が露出しているのだ。彼女の右足は細く、普通に見えるが、左足はむくんで太くなっており、そしてかかとにこの症状。
残酷だけれど「歩いてみて」とリクエスト。
父親が彼女を立たせたが、彼女の両足は力なく、身体がぐにゃりと折れ曲がった。
「歩けないんだ」と父親。彼女のかかとを触りながら「そして下半身に感覚がない」。
下半身の神経が麻痺しているので、オシッコをもよおさない。従って24時間垂れ流しのため、10歳にしてオムツを欠かせない。
「劣化ウラン弾だ」父親の同僚がつぶやく。父親はこのハムダニーヤ病院の警備員なのだ。
バグダッドにもモスルにも、このような子どもが山ほどいる。
本日、オバマが新大統領になった。今後オバマは、ブッシュの負の遺産を処理しなければならない。米国が抱えるもっとも大きな負の遺産は、イラク戦争であろう。
一刻も早く、米軍を撤退させることはもちろんだが、この劣化ウラン弾の使用に対する、謝罪と補償を行わねばならないだろう。

       

空爆の破片が頭蓋骨をかすめた burog.jpg バグダッドで、この男の子と出会った。米軍の空爆による破片が、頭蓋骨をかすめていって、彼の頭は頭皮が露出している。かろうじて脳が皮膚一枚で守られている。ためしに指で触ってみると、指が脳内にのめりこんでいくような感覚。 もう少し下部に命中していたら、即死していただろう。

彼はゆらゆらとくらげのように歩く。脳が傷つき、下半身が麻痺している。バグダッドは危険なので、ゆっくりとインタビューすることができず、これ以上の詳細は分からない。
父親が彼の防止を脱がせて、頭の傷を指差して「アメリーキー」と抗議していた。
2007年、米軍のバグダッドへの空爆は、1400回を越えた。一年間で1400回。つまり毎日3~4回。ヘリコプターや戦闘機から、「スイッチを押すだけ」で、ミサイルが発射されるが、撃たれた方は、このような被害が生じる。
頭では理解していても、実際に戦争被害者と出会うと、あらためてその残酷さが分かる。

本日はアメリカ大統領選挙。「オバマがマシ」との声も聞こえてくるが、双方、「テロとの戦いをやめる」とは言っていない。どちらになっても、悲劇は続く。

水頭症の子ども.jpg ブログに写真をアップするのに慣れていないので、前回は大きなサイズになってしまい、大変失礼しました。 今回はうまくいくかな? ということで、今日から10月のイラク取材で出会った子どもたちの写真を一枚ずつアップしていくことにします。米軍の戦争犯罪をご確認ください。

写真の子どもは、サバー君(3歳)で、バグダッドで出会った。母親がこの子の頭を指差して、「水、水」と言っていたので、水頭症だと思われる。劣化ウラン弾の影響なのか、それとも化学兵器の影響か?
いずれにしても「複合汚染」である。母親はこの子のほかにもう一人出産したが、すでに死んでしまっている。
机の上に座らせて、ビデオ撮影したが、この子の頭を支えてあげないと、ぐらぐらと崩れ落ちそうだった。首が据わっておらず、もちろん歩くこともできない。
バグダッドは人口600万人の大都市であるが、かなりの部分が汚染されているようだ。今後、どれほどの被害が広がるのか、「神のみぞ知る」と、通訳は言った。
せめて医師がいてくれればと思うのだが…。
誰がこの責任を取るのだろう。


このブログに来られているみなさん。バグダッドとモスルの記述では、ご心配をおかけしました。私はすでに日本に帰国し、今は「テレビ局に拉致」されています。

本日のテレビ朝日「報道ステーション」で、イラクの現状ルポが放映予定です。監獄都市バグダッドの街の様子、その中で生活する母親と子ども。そしてモスル近郊の町ハムダニーヤに逃げてくる人々、劣化ウラン弾によると思われる障害児たち、クラスター爆弾の被害者などの最新映像を紹介する予定です。

昨日は深夜2時ごろまで編集室に缶詰。スタッフも気合入ってます。よほど大きなニュースが飛び込んでこない限り10時過ぎごろのオンエア。今日だけは「麻生総理、解散するな(笑)」という気分です。直前のお知らせで申し訳ありませんが、ぜひご覧ください。

アリー君と 1.JPG

写真の子どもは、モスル近郊のハムダニーヤ総合病院で出会った。アリー君(11歳)の左足は膝のところでねじ曲がり、膝の横に足が張り付いている状態。
アリー君を生んだ母親は、わが子の姿を見て泣き続けている。次の子がアリー君のような姿で生まれてくるのが怖くて、両親はこれ以上の出産をあきらめている。

モスルの下町で生まれた。湾岸戦争、98年の「砂漠の狐作戦」、そして今回のイラク戦争。多くの劣化ウラン弾が撃ち込まれたモスル。劣化ウラン弾だけではない、おそらく化学兵器が使用されている。この病院には下半身不随の子どもがやたらと多い。さらには通常兵器が安全かというと、そうではない。通常兵器に含まれている鉛やマンガン、タングステンなどが地中に入り、重金属が土壌を汚染する。

この子の場合は、おそらく劣化ウラン弾だ。遺伝子が壊れないと、このような姿にはならないだろう。
さて、モスル近郊「ハムダニーヤ」とも今日でお別れ。ハムダニーヤからタクシーをぶっ飛ばし、アルビルとの国境まで急がねばならない。できるだけ日の昇っているうちに、モスル側の国道を突っ切って、アルビルへと入りたい。
サファーンから「次もぜひここを訪れてくれ。ここには国連もNGOもいない。モスルの人々を見捨てないでほしい」と頼まれる。バグダッドもモスルも、まだまだ危険であるが、危険だからこそ援助物資を届けたい。

「次は3月ごろだ」と約束し、ハムダニーヤを出発。アルビルまでは60キロ。わずか1時間にも満たないドライブだがアルビルは天国、こちらは地獄。道中、民兵による臨時のチェックポイントが設定されていないことを願う。
タクシーは飛ばす。後部座席に身をかがめながら、モスル側の風景を脳裏に焼き付ける。やがてアルビルとの「国境」が見えてきた。どうやら抜けることができそうだ。

実は私にはモスル入りの秘策があった。「ハムダニーヤ病院」から救急車に乗り、サイレンを鳴らしながら「モスル子ども中央病院」に移送してもらうのだ。これならチェックポイントでばれないし、拉致されないだろう。

ハムダニーヤ総合病院の院長も、いったんは「救急車を用意する」と確約してくれた。しかし今回は状況が悪かった。10月10日(わずか5日前だ!)から始まった「キリスト教徒虐殺」事件で、モスルは戒厳令状態に入ってしまったのだ。

「ニシ、救急車も消防車も、すべて止められる可能性があるよ」とサファーン。外国人と分かれば、身代金目当ての誘拐犯たちが動き出す。「救急車ごと拉致」される可能性があるので、いったんは承諾してくれた院長も、「今回はやめておこう」ということになった。

「モスル子ども中央病院」は、まさにモスルの下町に建っており、地元住民でさえ、よほどの用事がない場合にしか出歩かない地区である。仕方がない、今回はあきらめよう。

モスル子ども中央病院は「壮絶な状況」になっている。毎日300人もの子どもたちが、通院してくる。米軍の空爆で片手を失った子ども、劣化ウラン弾の影響と思われるがんの子ども、クラスター爆弾の被害者…。「トゥーメニー(患者が多すぎる)」とサファーン。次回はこの「秘策」で、モスル市内入りを果たしたいものだ。
モスル市内入りをあきらめた私の元に、たくさんの患者がやって来る。

背中に大きな腫瘍があって、下半身不随の子ども。この症状は劣化ウラン弾被害に特有のもので、遺伝子異常のため、脊髄が普通に発達しなかったのだ。本来なら神経が脊髄の中をまっすぐに下半身まで通るべきところを、背中でストップし、それが腫瘍を形成している。彼の下半身は、おそらく一生動くことはない。バグダッドでも、ツワイサでも同じ症状の子どもを見た。

両足に義足をした青年。彼は羊飼いで、5年前17歳のとき草原に落ちている「不思議なもの」を見つけた。それは03年の空爆で、米軍がばら撒いたクラスター爆弾だった。「今まで見たことのなかった金属で、僕にはおもちゃに見えたんだ」。
彼と友人3人はその金属を手にとって遊んでいた。そして試しに、その金属片を地面に放り投げた時…。大爆発が起こった。他の3人は死んでしまった。彼だけが生き残ったが、両足は膝上切断。義足に松葉杖の生活が5年間続いている。

「化学兵器、劣化ウラン弾、空爆での被害。モスルには障害者が一杯だ。僕は障害者たちのリハビリセンターを作りたいんだ」サファーンが当面の目標を語る。
次回は、「秘策」を成功させ、モスル市内の人たちと会ってみたいものだ。

まずは新生児病棟へ。保育器に未熟児の赤ちゃんが眠っている。目の部分が包帯でぐるぐる巻かれている。この赤ちゃんは双子で、もう一方も同様に保育器に入っている。
狭い病室に保育器が6つ。母親たちは病室の床にカーペットを敷き、ここに寝泊りしている。

次に幼児たちの病棟。一つのベッドに2人、3人と入院している。劣化ウラン弾によるがん患者かと思ったのだが、そうではないようだ。衛生状態が悪いので下痢になった子どもが多い。点滴が施されているが、その点滴のチューブにハエがたかっている。
「患者たちは地元住民と、モスル市内からやってくる人々が半分半分といったところ。ご覧のように、病室もベッド数も足らないので、ベッドは共有している」。と担当医師が案内する。
幼児に母親が付き添っているのだが、「寝る場所がない」と訴える。

病棟を出て、病院の中庭を歩いていると、「俺の子どもを見てくれ」と、警備員の一人が娘を抱きかかえてやってきた。
警備員が幼女のズボンを脱がせる。「この子は生まれつき右足と左足の太さが違うんだ」。
確かに右足はガリガリに細く、左足は太くむくんでいる。左足のかかとの部分に巻かれている包帯をはずすと…。かかとの部分に大きな穴が開き、赤い肉が露出している。この症状の子どもには、03年にバグダッド子ども病院にもいた。「皮膚がん」なのか?それとも…。
「ウラン弾か化学兵器」サファーンがつぶやく。モスルにはこのような子どもがたくさんいるよ、とも。

この幼女は下半身の感覚がないので、尿意を催さない。24時間垂れ流しだ。足をつねっても痛がらない。「足の指を噛み切ってしまった子どももいるよ。痛いという感覚がないんだ」とサファーン。サファーンは「モスル中央子ども病院」でエンジニアとして働いているので、多くのケースを目撃している。

湾岸戦争、そして今回の戦争で、モスルにも大量の劣化ウラン弾をはじめ、さまざまな爆弾が打ち込まれた。ウランの放射線、爆弾の重金属汚染、そして化学兵器使用疑惑。イラクの人々は「複合汚染」にさらされている。
米軍の空爆やアルカイダの自爆テロなら、避難することもできる。しかし水を飲まないわけにはいかないし、空気を吸わないわけにもいかない。イラク戦争での死者は100万人以上といわれているが、「複合汚染でじわじわと死んでいく人」を加えれば、途方もない数字になる。ブッシュ大統領こそ、大虐殺者である。