総選挙におけるワイドショー報道

私は元黒田ジャーナルの仲間とともに「うずみ火」という新聞を発行しているが、その中で先の総選挙でテレビはどのような役割を果たしたか、について検証した。具体的には新聞のテレビ欄をざっとチェックして、報道の傾向を探ったわけだ。意外な事にテレビ欄には「刺客」や「ホリエモン」、「料理研究家」などの文字はなかった。これらは番組の中で映像とともに「言葉で」語られていたのだろう。調べたのは、毎日の「ちちんぷいぷい」や朝日の「ムーヴ」、関西の「2時ワクッ」、読売の「ザ・ワイド」、NHKの「関西ニュース一番」である。これらは関西発で、昼間の時間帯を占めている番組。以下、選挙中、つまり8月30日から9月9日までの報道について「うずみ火」で書いた内容を記す。

まず「みなさまの」NHK、関西ニュース一番であるが、これは夕方5時からの番組。公示後、「激戦区」ということで注目選挙区を紹介しているが、9月に入ってからは「阪神もの」の方が多いくらい。「激戦区」を紹介したところで、OOさんは自転車に乗って訴える、とか「刺客」の××さんは知名度を上げるのに精一杯、などの報道であろう。憲法の「け」の字も出ない番組に終始したのではないか。
続いて毎日放送、ちちんぷいぷい。ここは「どうするのかイラクの自衛隊」「年金の元締め、社会保険庁の改革どうするの?」「沖縄米軍基地の実態」など、それなりにがんばっている。ただ9月8、9日と投票日が近づくにつれ、「お風呂ネタ」や「芸能ネタ」になり、一番肝心な時期に「人畜無害」の報道になってしまったのが残念である。
次に朝日放送、ムーヴ。ここも選挙を正面から取り上げようという姿勢が見える。「マニュフェストどこでもらえるの?」や「自衛隊どうする?サマワは今」、「今一度国の借金を検証する」など、選挙の争点をあぶりだそうとしている。ただ、やはり投票日が近づく9月7日以降、「期日前投票大人気」や「投票は権利?義務?」など、一般的な「選挙に行きましょう」といういわゆる「選管報道」になってしまったようだ。残念。
関西テレビ、2時ワクッはどうか?選挙最終盤で「年金問題をどう見る?」9月1日にも「増税はあるの?」など、大阪人らしくマネーに絞った報道をしたが、それ以外は芸能ネタ。「矢田&押尾」など、私など顔も知らない芸能人ネタがトップを飾る。「堅い」政治の話題では視聴率を稼げないからだろうか…。
最後に読売テレビ、ザ・ワイド。選挙戦前半「サラリーマン増税、家計に打撃?各党政策は?」や「どうなる年金改革」、「消費税問題」など、やはりお金に関する特集を組んでいる。しかし投票日が近づくにつれ、台風14号関連ニュース、22歳OL殺害事件などに変化する。しかし大詰め9月9日には「争点�治安。わが身を守る方法」。10回も続けたのであるから他にもいろいろ議論はしたのであろうが、なぜ最終日に「治安・わが身を守る方法」なのだろう?「テロの不安」などを語る場合、その背景にあるものをきちんと考察せねばならない。例えばイラク戦争でアメリカがどうのような空爆をしているのか、罪なき人々をどれほど殺害したのか、そもそもアルカイダはアメリカが育てたのではなかったのか、などをきちんと検証した上で、「治安」が語られたのだろうか?自民党は「共謀罪」を制定しようとしている。これは現代の治安維持法であるが、その口実は「治安」である。得体の知れない不安をあおって、結局は権力者の思うとおりに世論が導かれていく、というのが関東大震災はじめ、歴史の教訓であるのだが。

以上、記したように、傾向としては「投票日が近づくにつれ、選挙を正面にすえた報道ではなくなっている」ということと、「憲法問題には最後まで触れずじまい」ということだ。今、9条改悪が叫ばれているが、選挙後はこうなっていく事は最初から分かっていた。自衛隊をどうするのか?5兆円もの税金を防衛費に突っこんでいいのか、この辺は、テレビの世界では「タブー」なのか?それとも「そんな堅い話では視聴率は稼げない」と感じているのか?スポンサーが怖いのか?

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このページは、nishitaniが2005年11月 5日 12:24に書いたブログ記事です。

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