世界トイレ事情

写真をお見せできないのが残念であるが、ここ中東のトイレは日本とは若干違っている。便器のすぐ横に、なにやら怪しげな「第2便器」のようなものが鎮座ましましている。最初、「これは何をするものだ。足でも洗うのか」と思っていたし、実際に洗いそうになったこともある。
「第2便器」には蛇口が2つ付いていて赤からはお湯、青からは水が飛び出す。その使用方法が分からなかったので、しばらくは「第2便器」のお世話にならなかったのだが、ある日、トイレに駆け込んだ際、紙が備わっておらず「火急の事態」を迎えた。用を足してから仕方なく「かねてより熟慮していた使用方法」を実行に移すことにした。
まず「第2便器」に付属している赤と青の蛇口を調整して水温を「適温」にする。水を手に当てて計るのだが、大事なのは「ぬるめ」にしないと、その部分が敏感なので、熱いと「ギャッ」と飛び上がることになる。次に慎重に「第1便器」から「第2便器」へと移行し、ぬるめの湯を当てる。ここで慌てると、お尻のあらぬ所や背中に湯が当たって、身体を濡らしてしまうので注意が必要だ。うまく命中したらしばらく「快感」に身を委ね、やがておもむろに蛇口を閉じてフィニッシュ。
何のことはない、第2便器は「分離型ウォシュレット」だった。
このように、世界では紙を使用せず、水で洗い流す文化が主流のようで、例えばタイの奥地、カレン族のトイレもそうだった。カレン族のトイレは通常家の外にあり、竹で囲まれた小さな小屋になっている。例えば夜に「火急の事態」を迎えると、さまざまな困難が待ち受けている。まず真っ暗闇の中でトイレを探さねばならない。うまくトイレまで行き着いたとしても、今度は手探りでドアを探さねば中に入れない。ドアを探しながらも刻一刻と「火急の事態」が迫ってくるので、かなりあせってしまう。ようやくドアを発見し、月明かりの中で用を足す。この頃には目が慣れてくるのであるが、よく見ると、便器の前にネコがいる。今ここでこいつに飛びかかられたら大変な事になるな、と、ネコとにらめっこしながら用を足してからが問題だった。「紙がない」のだ。
便器の横に水がめがあって、そこに赤い小さな洗面器が一つ。これで水をすくって洗え、ということだ。仕方なく水で洗い流す。つまり「指ウォシュレット」である。この際重要なのがどの指を使うかである。普段からよく使う人差し指ではなく、使用頻度の低い薬指がおすすめ。石鹸で入念に洗っても、しばらくは「ほのかに臭いたつ」ことになる。
感心したのが、インドの「トイレおじさん」である。ムンバイの空港でやはり「火急の事態」に陥り、トイレに駆け込んだのであるが、またも「紙がない」。しばし絶望にくれていると、トントンと私の肩を叩く人物がいる。振り向くと「トイレおじさん」が微笑みながら紙を持って立っている。地獄で仏とはこのこと、「サンキュー、サンキュー」とおじさんの紙を奪うようにしてトイレに入ろうとすると、「トイレおじさん」は右手を差し出す。「あぁ、チップね。ありがとう。助かったので奮発するね」と1ドル札を握らせた。
用を済ませて手を洗おうとすると、今度は石鹸を持って立っている。何と素敵なおじさんであることか、とその時は感謝していたのであるが、後でじっくり考えた。
はて、あのおじさんはどうしてトイレに立っていたのか?あらかじめ備え付けてあるトイレットペーパーを抜き取り、私のような「火急の事態」を迎えた人物が飛び込んでくるのを待っていたのではないか。何しろ緊急事態なので、トイレットペーパー1本10ドル、と言われても買ってしまうだろう。インドにはいろんな商売があるものだな、と妙に感心してしまったのであった。

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このページは、nishitaniが2005年12月 1日 12:11に書いたブログ記事です。

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