ホテルルワンダ

もう梅田での上映は終了してしまったが、ホテルルワンダを観た。フツ族によるツチ族への虐殺。いったん虐殺が始まると、その規模は爆発的に拡大し、やがて国内を「民族浄化」の嵐が吹き荒れる。一般に背が低く、鼻が広いのがフツで、背が高く鼻が狭いのがツチだと言われているが、映画の中で白人のジャーナリストが質問し、「俺はフツだ」「私?ツチよ」というシーンが出てくるが、日本人の私には全然区別が付かない。ボスニア・サラエボのバーで隣に座った青年に、同じような質問をしたことがある。「俺はセルビア。あいつはクロアチアだ」と答えてくれたが、やはり全然区別がつかない。アフリカを一人旅したときジャッキーチェンのポスターを観て、人々は「カラテ、カラテ、ジャパン!」と叫んでいたが、彼らにとっては中国人も日本人も同じように区別がつかないのだろう。
フツとツチの「民族浄化」をあおったのがラジオ放送だった。もともと宗主国ベルギーがルワンダを支配するため、少数民族であるツチを登用して分断を図ったのが、虐殺の背景である。
フツの過激派が大量に刃物を仕入れる。そして「ツチ狩り」。女性子どもまでその刃物で切り刻んで殺していく…。その模様を白人ジャーナリストがビデオに納める。
全世界に流される虐殺シーン。テレビが放映してくれた事で、主人公のホテルマンはほっとする。「これで世界の世論が動き、虐殺を止めるための部隊が介入してくれるだろう」と。
「世界の反応?期待しないほうがいいよ。あの虐殺シーンを見た人々は『怖いわね』と言った後、またディナーを食べるのさ」とビデオを撮影したジャーナリスト。
ホテルマンの期待はむなしく、まさにジャーナリストの予言どおりに事態は進む。
ルワンダの虐殺、ボスニアやコソボの民族浄化、アフガンへの空爆、そしてイラク戦争…。かのジャーナリストの「冷めた意見」どおりに事態は動いているように見える。
しかし一方で映画は、難民を救出するために奮闘する赤十字やNGOの姿も描き出す。ホテルマンは結果として大量の人々を第3国へ逃がす事に成功する。国連の無力さを痛感しつつ、(まさに今のイラクがそうだ)、しかし事態を打開できるのは国連や世界的な反戦世論でしかありえない。映画のラストシーンでツチ族の「反政府軍」が出てくるが、報復戦争は新たな虐殺を生む。「紛争を事前に予防する事」が大事なのだ。

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ルワンダの首都キガリには、ツチ族とフツ族による、深い対立があった。 とくにフツ族は、ツチ族に対し、深い怒りを恨みを抱えていた。 フツ族たちは、自らラジ... 続きを読む

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このページは、nishitaniが2006年3月15日 11:51に書いたブログ記事です。

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