アメリカはイランとの戦争を始めるか?

各地の講演会に伺って、「アメリカはイランと戦争をするつもりでしょうか?」と、よく聞かれるようになった。私は競馬などの予想屋ではないので、ハッキリと「やる」「やらない」とは言えないが、現時点では「本格的な戦争はやらないだろう」と考える。
理由は、「イランが強大だから」である。以下はレバノン在住のジャーナリスト安武氏や、アンマン在住のハリルの意見などを参照に現時点での考え。
もしアメリカがイランを叩くと、イランは3つの対抗措置を駆使する。
1つは、ホルムズ海峡の封鎖。これは西側にとって痛手。ペルシャ湾のタンカーが通行できなくなれば、原油価格は急騰、世界同時不況に突入する恐れがある。中東の原油に頼りきる日本は特に大打撃。
2つ目が、ヒズボラにイスラエルを叩かせる、こと。イランの指示でヒズボラは動くから、アメリカの動きによっては、ヒズボラが「報復」としてイスラエルを叩く。これに呼応してハマスも南から動き出すので、イスラエルは南北からはさまれた形で攻められる。この事態はイスラエルも避けたいと思っているはずだ。
3つ目が、イラク南部のシーア派の一斉蜂起。南部シーア派は実質上、イランの影響下にあり、イランの指示があれば、更なる反米闘争に立ち上がり、実質上、イラク南部油田は、イランの影響下に落ちることになるかもしれない。ただでさえ、イラクで手を焼いているアメリカにとって、これ以上の米兵死亡者急増は望まないだろう。
以上3点から、アメリカはイランに手を出しにくい。
イランとアメリカが「瀬戸際外交」をすることによって、アメリカは「やはり軍事力を削れない」となるだろうし、イランは国内不満分子の蜂起を、アメリカが敵なので、団結せよとなり、結果として大統領支持基盤が固まっていく。つまり、現在の「やるぞやるそ」という狼少年的緊張関係は、ブッシュとアハマディネジャドにとっては好都合なのではないか。
しかし、やはり「どこかで戦争を始める」のがアメリカであろう。「アメリカの公共事業は戦争」だからだ。
イランかもしれないし、シリアなのかもしれない。中央アジアも可能性がある。一番可能性が低いのは北朝鮮だろう。
いずれにしても、イランが原油決済をユーロで始めたことは、アメリカにとって戦争への序曲ではある。現時点では、「ベクトルは戦争へと向いているが、あまりにイランが強いので、しばらく自重して様子見を続ける」のが、アメリカの対応ではないかと見ている。

トラックバック(0)

このブログ記事を参照しているブログ一覧: アメリカはイランとの戦争を始めるか?

このブログ記事に対するトラックバックURL: http://www.nowiraq.com/mt/mt-tb.cgi/34

コメントする

このブログ記事について

このページは、nishitaniが2007年4月12日 02:30に書いたブログ記事です。

ひとつ前のブログ記事は「放送日変更です」です。

次のブログ記事は「通訳ワリードもバグダッドを脱出」です。

最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。

Powered by Movable Type 4.01