ダマスカスより その2

私の宿泊したダマスカスのアパートではインターネット環境がよくないため、ブログを毎日更新できなかった。したがって本日も前日の続き。
タクシードライバー、マンスール(28歳)の運転でジャラマナ地区へ。マンスールは飛ばす。高速道路はもちろん、渋滞に巻き込まれても、クラクションを連打し、前を走る気の弱い車を追い払い、右へ左へと斜線を変更し、「そんなに迫れば当たってしまう」というギリギリのところまで追い込みをかけて、「イッツ、ドンキー(のろま野郎め!)」と悪態をついて追い抜いていく。
ジャラマナ地区の大通りはイラク難民であふれかえっている。複雑な街並みの中で、道行く人に聞くこと数十回、ようやく前回訪問したオフィスに到着。このオフィスで通訳を確保。明日の午前10時から本格的な取材が可能に。
ジャラマナ地区を後に、サイダ・ザイナブ地区へ。ここにはバグダッドからの長距離夜行バスが到着するバスターミナルがある。
バスターミナルはイラク難民でごった返している。「ビデオ撮影OK」とマンスール。その言葉を信じて、バグダッド行きのバスの乗客を取材。
バスの前でビデオカメラを向けながら取材をしていると、「何だ何だ」と野次馬が集まる。やがて野次馬たちは「俺もイラク人だ。撮影してくれ」「こいつはビザが切れてバグダッドに帰らざるを得ないんだ」「米兵も恐ろしいが、スンニとシーアの内戦で民兵が殺しまくっているんだ」など、口々に叫びだす。
「やばいな」と感じるが、ここでひるんでは取材ができない。同行の吉田君と、バスの乗客や運転手を取材しているときだった。
「お前たち、何をしているのか」。シリアの秘密警察だ。「やばい!」と思ったが後の祭り。どうやら私が写真を撮ったので、そのフラッシュでばれてしまったようだ。「出発の記念に撮影しただけですよ」などと答えたのだが、警官は携帯で何やら上司と連絡している。
「これはやばい」と感じてマンスール、吉田君とともに、車に飛び乗り発車させようとするが、その前に秘密警察が立ちふさがる。マンスールは「ちょっと風景写真を撮っただけ。見てくださいよ、バスの外観しか写ってないでしょ」と私のデジカメの一部を見せながら、吉田君のビデオカメラを後部座席に隠してくれた。
私のデジカメにはバスしか写ってなかったので、秘密警察官は「次回から人々は撮らないように」と「釈放」してくれた。マンスールのとっさの機転で、一番大事なビデオカメラを守ることができた。
マンスールをドライバーに雇ったのは、結果的に正解だった。英語はあまりしゃべれないのだが、彼は頼りになるヤツだった。
これからシリアでの取材が続くが、「やりすぎは禁物」な国なのだ。

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このページは、nishitaniが2007年10月 8日 02:08に書いたブログ記事です。

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