お願い、足を切らないで!

3月14日、今日は金曜日でアラブでは休日。官庁関係はすべて閉まっているので、こんな時は1年365日、24時間オープンの病院へ。

ショビアンさん(20歳)は、スレイマニア大学病院の緊急病棟に入院している。昨日訪れたパレスホテルの前をたまたま歩いているとき、自爆テロに巻き込まれてしまったのだ。3月10日夕刻、彼女は大学の授業を終え、いつものように徒歩で家路についていた。スレイマニアのメーンストリート、パレスホテルの前を通りかかったときだった。ホテルの玄関には警備員、入り口にはボーイたち。玄関に一台の車が止まっている。何の変哲もないまったく普通の光景だ。

ショビアンさんが、その車のそばを通りかかったとき…。突然の光、爆音、爆風。気丈なショビアンさんは、体内に10以上の破片が突き刺さりながら、そして大量の血を流しながらも、気を失わずに助けを求めた。目の前で、警備員が腹から血を流しながら息絶えていった。やがて…。彼女が担ぎこまれたのが、この緊急病棟だ。幸い顔には怪我がなかったのだが、お腹と左手、両足に爆発の破片が飛び込み、特に右足に重症を負った。
担当医師は、明日にも右足の切断手術をしなければ命が危ない、と言う。しかしショビアンさんと父親は、「お願いだから、足を切らないで」と懇願し、手術を先延ばしにしてもらっている。しかし運命は残酷だ。ここスレイマニアの大学病院では、足を切らずに治療する技術はない。

「ドイツか、日本の病院へ移送してほしい。私はまだ20歳。大学でもっと勉強したいし、このまま歩けなくなるのはつらいわ。日本のみなさん、どうか助けてください」。
ショビアンさんは、やはり気丈にも涙を見せずに、私たちのカメラに訴えた。

3日前の爆弾テロは、やはりアルカイダの仕業だ。「なぜなの?こんなことをして誰が喜ぶの?」。ショビアンさんの、悲しそうに訴える青い瞳が脳裏に刻まれる。

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このページは、nishitaniが2008年3月14日 22:42に書いたブログ記事です。

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