ムラート君と再会
3月18日夜、宿泊するホテルにムラート君がやって来た。昨年10月にキルクーク取材をしたとき、病院で出会った13歳の少年だ。当時は危篤状態。前日、アルカイダ系の若者による自爆テロに巻き込まれ、全身おおやけど、右目を失い、あごの骨は砕け散り、左胸には10を越える破片が突き刺さっていた。
あの時は、「あぅー、あぅー」といううめき声しか出せなかったが、今ではちゃんと会話もできるし、普通に歩けるようになった。
「スパーシ、スパーシ(ありがとう)」を連発するムラート君。しっかり抱きかかえてあげるとうれしそうに笑ってくれた。もっともサングラスをしているので、彼の瞳を見ることはできなかったが。
テロから5ヶ月が経過したが、彼の右腕にはまだ包帯がぐるぐる巻き。やけど跡のあの赤黒い肉が盛り上がっている。「右手は動くのか?」と聞くと、こっくりうなずいて、こぶしを握ったり開いたりしてくれた。神経は大丈夫だったようだ。
顔面にも赤黒い肉が盛り上がり、やけどのすごさを物語っている。サングラスをはずしてもらうと…。右目があった部分に、ボコッと穴が開いており、そこから涙が流れ出している。
「病院で出会ったことを覚えているか?」「うん、誰かが入ってきたように思った。でもあの時は音だけが聞こえてきて、誰かはわからなかった」「右目を失ったことをいつ知ったの?」「スレイマニアの病院まで運ばれて、手術してもらった後に聞かされた。ショックだった」「テロリストについてどう思う?」「憎い。殺してやりたい」
13歳の少年から「見つけだして殺してやりたい」という言葉が出る。それはそうだろう、この子の人生を大幅に狂わせた犯人を許せるはずがない。「話し合いで解決しよう」などと当事者でない私たちは、簡単に口にするが、しかし…。
「ムラートは数学の成績が良いんです。将来はエンジニアになりたいといってます」と付き添いのおじさん。
「学校は大好き」と答えるムラート君。将来はコンピュータ関係の仕事をしたいんだ、ムラート君の口から初めて白い歯がのぞいた。
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