避難民キャンプの女性たち

3月23日無事イラクを脱出し、UAEのドバイに到着。今日からは普通の海外旅行だ。電気は一日中ついているし、街角に兵士がたむろしていないし、おそらく自爆テロも起こらない。考えてみればこれが普通の日常生活なのだが、あらためて「普通の日常生活」のありがたさが身にしみる。
ということで、本日は20日に再度行った、カラア避難民キャンプの様子について。なぜもう一度このキャンプを訪れたかと言うと、① 開戦5年目で、この戦争についてどう思うのかを、聞いて回りたかったことと、② この避難民キャンプの中で売春が行われていると聞いたので、その実態を調査したかった、からである。

①については、家を奪われ、夫を奪われ、命からがら逃げてきた避難民たちなので、この戦争に対する深い憤り、悲しみについて、再度取材することができた。問題は②である。

シーア派の民兵に兄を殺され、自宅まで調査が入り、取調べを受けた母娘がいた。この親子はスンニ派なのだ。娘は16歳。マフディ軍の事務所まで連れて行かれ、殺された兄のことを根掘り葉掘り聞かれた。通訳に「レイプされてないのか?」と尋ねる。通訳モハンマドは、4年前バグダッドで知り合った優秀なヤツ。「趣旨はわかった」とうなずき、慎重に娘と話をしている。「平手でほほを殴られただけで、レイプはされなかったようだ」。
その日の夜、モハンマドは私にこっそりと事情を説明した。「俺の見たところ、彼女はレイプされている。母親がいたので言えなかったんだ。レイプされたことがばれると、結婚できなくなるからね」。

避難民キャンプをさらに奥に入っていく。一番後方のテントが現在製作中。テントを作っている男たちは、なんとここにベンツで乗り付けている。
「ニシ、彼らが斡旋業者だよ。ベンツに乗っているし、酒を持ってきている。あのテントで斡旋するつもりだろう」モハンマドが、彼らに近づいていく。
「バグダッドから?しかしいい車に乗ってるねぇ」「この車で、スレイマニアとバグダッドを往復し、難民たちを輸送する商売を始めたのさ」世間話が続く。彼らもまた、アメリカ出て行け!と叫んだ。これから「妻」とここに住むと言っていたが…。

その後、モハンマドは避難民キャンプの、とある女性と携帯電話で連絡を取っていた。売春せざるをえない実態をインタビューさせてほしいと依頼していたのだ。
しかし彼女は取材に応じてくれなかった。もしインタビューに応じたのがばれてしまうと、刑務所行きで、なおかつスレイマニアから追放されてしまう。

夫を奪われ、家を失い、「勝ち組」のクルド男性に身体を売る女性たち。90年代は、この関係はまったく逆で、フセインの軍隊、つまりアラブ人たちがクルドの村を襲い、女性たちをレイプした。
戦争とはつくづく弱者にしわ寄せが行くものだと感じる。

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このページは、nishitaniが2008年3月24日 17:05に書いたブログ記事です。

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