激戦地 モスルをめざす ③

まずは新生児病棟へ。保育器に未熟児の赤ちゃんが眠っている。目の部分が包帯でぐるぐる巻かれている。この赤ちゃんは双子で、もう一方も同様に保育器に入っている。
狭い病室に保育器が6つ。母親たちは病室の床にカーペットを敷き、ここに寝泊りしている。

次に幼児たちの病棟。一つのベッドに2人、3人と入院している。劣化ウラン弾によるがん患者かと思ったのだが、そうではないようだ。衛生状態が悪いので下痢になった子どもが多い。点滴が施されているが、その点滴のチューブにハエがたかっている。
「患者たちは地元住民と、モスル市内からやってくる人々が半分半分といったところ。ご覧のように、病室もベッド数も足らないので、ベッドは共有している」。と担当医師が案内する。
幼児に母親が付き添っているのだが、「寝る場所がない」と訴える。

病棟を出て、病院の中庭を歩いていると、「俺の子どもを見てくれ」と、警備員の一人が娘を抱きかかえてやってきた。
警備員が幼女のズボンを脱がせる。「この子は生まれつき右足と左足の太さが違うんだ」。
確かに右足はガリガリに細く、左足は太くむくんでいる。左足のかかとの部分に巻かれている包帯をはずすと…。かかとの部分に大きな穴が開き、赤い肉が露出している。この症状の子どもには、03年にバグダッド子ども病院にもいた。「皮膚がん」なのか?それとも…。
「ウラン弾か化学兵器」サファーンがつぶやく。モスルにはこのような子どもがたくさんいるよ、とも。

この幼女は下半身の感覚がないので、尿意を催さない。24時間垂れ流しだ。足をつねっても痛がらない。「足の指を噛み切ってしまった子どももいるよ。痛いという感覚がないんだ」とサファーン。サファーンは「モスル中央子ども病院」でエンジニアとして働いているので、多くのケースを目撃している。

湾岸戦争、そして今回の戦争で、モスルにも大量の劣化ウラン弾をはじめ、さまざまな爆弾が打ち込まれた。ウランの放射線、爆弾の重金属汚染、そして化学兵器使用疑惑。イラクの人々は「複合汚染」にさらされている。
米軍の空爆やアルカイダの自爆テロなら、避難することもできる。しかし水を飲まないわけにはいかないし、空気を吸わないわけにもいかない。イラク戦争での死者は100万人以上といわれているが、「複合汚染でじわじわと死んでいく人」を加えれば、途方もない数字になる。ブッシュ大統領こそ、大虐殺者である。

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このページは、nishitaniが2008年10月20日 23:46に書いたブログ記事です。

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