2008年11月アーカイブ

昨日深夜のNHKでアブグレイブ刑務所の虐待事件の真相に迫るドキュメントが放映された。あの事件からもう4年も経過してからであり、いささか「気の抜けたビール」のようであるが、ともかく「地上波で」放送したことは(NHKとしては)素晴らしいことだった。

ドキュメンタリーの中で、民間軍事会社のことが触れられていた。虐待に携わったのは、米軍だけではなく、民間軍事会社社員の監督のもとに行われていたという事実だ。おそらく民間軍事会社が「主犯格」なのに、「軍人でない」から、罪にも問われず、軍法会議にもかけられない。イラク戦争はおそらく歴史上最も民営化の進んだ戦争であると思われるが、こうした傭兵たちの犯罪をあぶりだすとともに、「民営化の背景」に迫ることが必要だ。

詳細はDVD「ジャーハダ」の、第三章「戦争の民営化」にまとめているのだが、なぜ戦争が民営化されるかというと、①ペンタゴンが握る国防予算を、ネオコンたちが自らの出身企業(ハリバートンやベクテルなど)に振り向ける一つの手段 ②米兵が殺されればシンディーシーハンさんのような「息子を殺された母」が奮闘し、反戦世論が大きくなるが、ネパール兵や南ア兵ならブッシュ政権は安泰 ③(表向きは)戦費の節約 ということが挙げられる。

今後、肝心なのは③であろう。イラク戦争で100兆円も使ってしまったアメリカは、金融破たんもあり、破産状態である。これからの戦争は、「少ない予算で、獲得物を多く」しなければならない。次の標的はイランかシリアあたりだ。
現在、原油価格は下がっているが、今後緩やかに上昇し2050年ごろには1バレル200ドル程度になる予測もある。アフリカや中東、カスピ海沿岸に眠る油田は押さえておかねばならない。しかしイラク戦争のような「金食い虫」もやっかいだ。

どうするか?戦争を民営化するより安く済む方法…。

それが「自衛隊と韓国軍を使うこと」だろう。

これならタダで、米兵も殺されない。自・公与党が、なぜあれほどたたかれても、3分の2条項を使ってテロ特措法にこだわるのはなぜか?小沢民主党が、「国連決議あれば自衛隊派遣可能」と主張するのはなぜか?
自・民どちらの政党も、それぞれの方法で「アメリカの要望」を受け入れようとしているからだ。テロ特措法やイラク特措法の採決のとき、小沢民主党党首が「反対せず、欠席」するのはなぜか?

それはアメリカに対する彼のメッセージではないのか?

つまり「アメリカ従属度」に関しては、自民も民主もそう大差はない。アメリカにおいて、共和も民主も、「戦争中毒国家アメリカ」を支えている、という点と、日本の「二大政党制」は酷似しつつある。次の選挙で共産と社民が伸びて、「第三極」が形成されることを願う。

 

飛行船 ブログ用.jpg 「何やこの写真は?」と思う人も多いのでは? これは10月12日早朝、バグダッド・チグリス川に面するホテルから撮影した、米軍の無人飛行船である。前日自動車爆弾テロがあったあたりの上空にプカリと浮いていた。 米軍は、バグダッドの市民生活を、このようにモニタリングしている。 不気味である。そして現代の戦争を象徴している。 無人なので、この飛行船を攻撃しても、米兵は死なない。おそらく直近の米軍基地から、リモコンで操作している。 いまや無人戦闘機が、空爆する時代だ。もうすぐ「無人戦車」が実戦で活躍する時代に入るだろう。 そうなれば、兵士はさらなる「テレビゲーム感覚」で闘うことになるのだろう。 もしかすれば、テレビゲームが得意な日本人が、自衛隊で米軍と協力して、「リモコン操作」で戦果を挙げていくことになるのかもしれない。「オタクの戦争」。かなりブラックな、ジョークみたいな話だが、次の戦争はこの方向に進む。 オバマで方向が変わればいいのだが。


アリー君と 1.jpg 数日前に、アリー君のことを日本の皆さんに伝えないといけないと感じ、未熟なネット知識の元に、写真をアップしたのだが、大きすぎて、うまく入らなかった。本日再度アップする。 アリー君は10月16日早朝に、私の宿泊する「ハムダニーヤ総合病院」にやってきた。「日本人が泊まっている」といううわさを聞いて、父親が彼を連れてきたのだ。 ビックリした。劣化ウラン弾と思われる被害者の子どもたちを、たくさん取材してきたが、そのたびに驚かされるし、この結果責任の残酷さに、絶句してしまう。 「テロとの戦い」「アメリカこそ正義」とブッシュ大統領は、イラクに侵略したが、その結果責任を問われずに、かれは政界から引退する。 おそらくブッシュは今後、「史上最低の大統領だった」という評価を受けるのであろうが、しかしこの子は、ブッシュが亡くなった後も、ずっと生き続けていく。 「将来は何になりたい?」と聞くと、「医者になって僕のような子どもを救いたい」と答えるアリー君。 成績は優秀だが、この姿のために、しばしばいじめられることもあるようだ。 何年か先、この町で、困難を乗り越えて医者になったアリー君と出会いたい、と心の底から願う。


顔面ゆがんでいる 2 burogu.jpg

ムハンマド君(3)とは、ハムダニーヤ病院の玄関前で偶然であった。テレビ用に、病院玄関前で「ここはモスル近郊…」としゃべっていたら、母親に抱きかかえられて、この子が通りがかった。
やはり息を呑んだ。「何や?どうして?」という疑問しか浮かばなかった。
イラク北部のドホークという街で診察してもらったが、「イラクでは治らない」「戦争が原因だろう」と言われた。
彼の兄は6歳で正常。イラク戦争前に生まれている。おそらく劣化ウラン弾の影響だろう。
米軍は、モスルに対してもかなりの量の空爆を行った。モスルは今、最もテロが起こりやすい街で、今後も「アルカイダがいる」と、空爆するだろう。
モスルは、バグダッド、バスラに次ぐイラク第3の都市。この3都市ともに、ウランと化学物質、重金属の毒性などで「複合汚染」されている。
被害はどこまで拡大するのだろう…。


劣化ウランダンデ 皮膚がん? 2.jpg


カトリーンちゃん(10)に出会ったのは、モスル郊外のハムダニーヤ総合病院。左足に巻かれた包帯がほどかれた時、ハッと息を呑んだ。
これは何らかの衝撃がかかって、皮膚が削り落とされたのではない。生まれつき皮膚が完成しておらず、内部組織が露出しているのだ。彼女の右足は細く、普通に見えるが、左足はむくんで太くなっており、そしてかかとにこの症状。
残酷だけれど「歩いてみて」とリクエスト。
父親が彼女を立たせたが、彼女の両足は力なく、身体がぐにゃりと折れ曲がった。
「歩けないんだ」と父親。彼女のかかとを触りながら「そして下半身に感覚がない」。
下半身の神経が麻痺しているので、オシッコをもよおさない。従って24時間垂れ流しのため、10歳にしてオムツを欠かせない。
「劣化ウラン弾だ」父親の同僚がつぶやく。父親はこのハムダニーヤ病院の警備員なのだ。
バグダッドにもモスルにも、このような子どもが山ほどいる。
本日、オバマが新大統領になった。今後オバマは、ブッシュの負の遺産を処理しなければならない。米国が抱えるもっとも大きな負の遺産は、イラク戦争であろう。
一刻も早く、米軍を撤退させることはもちろんだが、この劣化ウラン弾の使用に対する、謝罪と補償を行わねばならないだろう。

       

空爆の破片が頭蓋骨をかすめた burog.jpg バグダッドで、この男の子と出会った。米軍の空爆による破片が、頭蓋骨をかすめていって、彼の頭は頭皮が露出している。かろうじて脳が皮膚一枚で守られている。ためしに指で触ってみると、指が脳内にのめりこんでいくような感覚。 もう少し下部に命中していたら、即死していただろう。

彼はゆらゆらとくらげのように歩く。脳が傷つき、下半身が麻痺している。バグダッドは危険なので、ゆっくりとインタビューすることができず、これ以上の詳細は分からない。
父親が彼の防止を脱がせて、頭の傷を指差して「アメリーキー」と抗議していた。
2007年、米軍のバグダッドへの空爆は、1400回を越えた。一年間で1400回。つまり毎日3~4回。ヘリコプターや戦闘機から、「スイッチを押すだけ」で、ミサイルが発射されるが、撃たれた方は、このような被害が生じる。
頭では理解していても、実際に戦争被害者と出会うと、あらためてその残酷さが分かる。

本日はアメリカ大統領選挙。「オバマがマシ」との声も聞こえてくるが、双方、「テロとの戦いをやめる」とは言っていない。どちらになっても、悲劇は続く。

水頭症の子ども.jpg ブログに写真をアップするのに慣れていないので、前回は大きなサイズになってしまい、大変失礼しました。 今回はうまくいくかな? ということで、今日から10月のイラク取材で出会った子どもたちの写真を一枚ずつアップしていくことにします。米軍の戦争犯罪をご確認ください。

写真の子どもは、サバー君(3歳)で、バグダッドで出会った。母親がこの子の頭を指差して、「水、水」と言っていたので、水頭症だと思われる。劣化ウラン弾の影響なのか、それとも化学兵器の影響か?
いずれにしても「複合汚染」である。母親はこの子のほかにもう一人出産したが、すでに死んでしまっている。
机の上に座らせて、ビデオ撮影したが、この子の頭を支えてあげないと、ぐらぐらと崩れ落ちそうだった。首が据わっておらず、もちろん歩くこともできない。
バグダッドは人口600万人の大都市であるが、かなりの部分が汚染されているようだ。今後、どれほどの被害が広がるのか、「神のみぞ知る」と、通訳は言った。
せめて医師がいてくれればと思うのだが…。
誰がこの責任を取るのだろう。