被害を見せたくない?病院運営者

イラク軍戦車で道路寸断ブログ用.jpg 写真は病院へと向う国道で。米軍戦車とイラク軍戦車が道路を寸断。

3月8日、今日からイサームラシードは大学の授業があるので、友人のウィサームを紹介してもらう。イサームとウィサーム。名前は似ているが、実際の人物はまったく違う。イサームは敬虔なムスリムで、祈りを欠かさず酒も飲まないが、ウィサームはインド系のビジネスマンで、「酒のない人生?シット!人生楽しまなきゃ」という意見。
2人はともに、ニューヨークタイムス、BBCの現地特派員。英語に堪能で、私の取材したいポイントを的確につかみ、うまくコーディネートしてくれる。
実際、海外での取材は「通訳しだい」というところがあって、今回の「バグダッド延長戦」では、ようやく私につきが回ってきたようだ。

ウィサームとイラク厚生省へ。ここでがん病院への取材許可を取る。今のイラク政府のことなので、許可が出るまで数日かかるか、と思ったが、4年前に2回、バグダッドに医薬品を贈ってきた実勢かあるので、すんなり許可証が出た。

厚生省からバグダッド核・放射線病院を目指す。ところが道路が渋滞してまったく進まない。米軍の戦車、イラク軍の戦車が何台も通り過ぎていく。
その日のニュースで知ったが、まさにこの時、イラク警察学校前でオートバイが爆発し、28人もの人々が亡くなるという、今年、最大規模の自爆攻撃があったばかりだったのだ。

1時間半もかかり、核・放射線病院へ。診察は2時までなので、何とか取材に間に合った。
ところがこの病院のセキュリティーを管理する警官が出てきて、「厚生省の許可証だけでは足りない」と言い出す。
ほかの許可証が必要だというのだ。後でわかった話だが、これは嫌がらせだった。
実は、この病院はマリキ政権が直轄で運営しており、アメリカの顔色を伺っている。
「劣化ウラン弾でイラクが汚染されている」ことを、あまり宣伝してほしくないのだ。
「政治的な取材ではない。人道支援だ」と説明するが、そのうちに時間切れ。診察が終了し、病院から追い出される。
5年前にこの病院を訪れたときは、「どうぞ、撮影してくれ」という対応だったのだが…。

仕方がないので、ウィサームとバグダッドの下町で酒屋へ。この酒屋はキリスト教徒が営んでいて、なんと店内でビールが飲める。酒好きのイラク人数人が、奥のカウンターでウィスキーを傾けている。「イラク版立ち飲み」だ。
実際、このカウンターに酒屋の前掛けをした主人がいて、つまみに枝豆でも出されたら、もうここは「パラダイス」なのである。
実際にはイラクでは「食事しながら飲酒する」という習慣が根付いておらず、ただひたすら、ビールを飲む者、ウィスキーをちびちびやる者たちが、アラビア語でなにやらしゃべっているのだが。

私もそんな親父たちに混じってハイネケンをあおる。
「1年前までは、このような店はイスラム原理主義者に襲われていた。ようやくこうして隠れながらでも飲める店ができた。バグダッドにはナイトクラブも復活した。徐々にだが、市民は生活をエンジョイできるようになってきているんだ」。
ウィサームは「行き過ぎたイスラム主義」を警戒する。イラクにはキリスト教徒も無宗教者もいる。そんなマイノリティーの立場も守られるべきなのだ。

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このページは、nishitaniが2009年3月11日 02:58に書いたブログ記事です。

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