カブール郊外 避難民キャンプを訪問

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6月11日、記者証をゲットしたので、軍・警察関係以外のところには、大抵取材できるようになった。在アフガン・日本大使館に感謝である。
さて、まず訪れたのがカブール郊外の「モジュリーン避難民キャンプ」。カブール北西、数キロのところ、国道沿いに薄汚れたテントと泥でできた家が広がっている。その数150張以上。一つのテントに一家族。小さな子どもが多く、一家族に10人以上いるらしいので、避難民の数は1500人以上になる。
「ユニセフ」と大書されたテントがあるので、大家族が住んでいるのかな、と思ったら、なんとそのテントは学校だった。ここアフガンは厳格なイスラムなので、テントも男子小学生、女子小学生用に分かれている。
ノートを持った子どもがいる。「名前かけるか?」と尋ねたら、小さな手でたどたどしく自分の名前を書いてくれた。

そんな取材を進めていたら、「俺が案内する」と、エネルギッシュな男性。彼はウルズガン州から逃げてきた。
「なぜ逃げてきたの?」。アメリーキー、アメリーキーと叫ぶ。「2年前、アメリカ軍の空爆で村が壊滅した」。通訳のオスマンが説明する。「なぜアメリカはあなたの村を襲ったの?」「村はタリバンに支配されている、という理由だ。でも村にはタリバンはいない。俺たちは普通の農民だ」。
彼によるとアメリカの空爆は3~4年前から執拗に繰り返され、2年前の空爆がひどかったので、村を捨ててここへ逃げてきたとのことだ。

テントと泥でできた難民の家を縫うようにして進む。大きな穴を掘っている男性がいる。
「何で穴を?」「井戸を掘っているんだ」。手掘りで井戸を掘る男性。きれいな水が不足しているのだが、いまどき手掘りで水脈までたどり着けるのだろうか?
泥をこねて家を作っている男性たちがいる。たくさんの人々が逃げてくるので、「新避難民」にはテント、そして「旧避難民」にはテントより少し居心地のよい泥の家に昇格するようだ。
「これを見ろ!こんなパサパサのパンをこうして毎日食べているんだ」。男性は干からびたパンに水をかけ、「浮やかして」食べる様子を再現する。テントの外にはビニールゴミが散乱する。「これはゴミではない。このビニールを燃やして調理している」。ゴミと思ったのは「燃料」だった。バグダッドのゴミ処分場に住みつく難民たちも、同じように生ゴミを燃やして調理していたなぁ。
「このテントは昨日建てた。この家族は昨日ここに逃げてきたばかりだ」。テントの中には女性がいて、撮影不可。アフガンでは女性にカメラを向けることができない。

この避難民キャンプができてすでに2年が経過している。国連からも政府からも何の援助もない、と避難民たちは言う。「でもUNHCRと書いてあるテントがあるやん?」と聞けば、あのテントやビニールシートは、別の難民キャンプからの横流し品だ、と言う。「ノーフード、ノーヘルプ」。唯一の援助は、近隣住民からのイスラム的な寄付だけ。学校は誰が運営しているのか?なぜ政府やNGOの援助が届かないのか?そういったことを取材しようとしていたときだった。

バリバリバリ。耳をつんざく音がして、軍用ヘリがこの避難民キャンプをめがけて低空飛行してきた。「危ない!撃たれる!」。
慌ててキャンプから逃げ出す。ヘリは低空で旋回した後、またカブールの方向へ飛び去っていった。「アフガン政府のヘリだ」とオスマン。なぜヘリが?と聞くも、「分からない」。
避難民の中にタリバンがいると考えているのだろうか…。

私にとっては意味不明の「威嚇行為」だが、こうしたことは日常茶飯事なのか、避難民たちはまた普通の生活に戻っている。「俺たちは普通の農民だ」という避難民。そして「こいつらはタリバンの疑いがある」とキャンプを威嚇する政府のヘリ。いったいどちらが正しいのだろう。私には彼らは「普通の農民」に見えた。しかし長年アメリカの空爆が続いたので、「普通の農民」たちの中に、「報復の炎」が燃え上がっているのも、また事実なのだ。
「テロとの戦い」。米軍が行う「無差別爆撃」によって、新たなテロリストが生まれている。こんなことを繰り返すのは、いわば「無限地獄」なのである。

オバマ大統領は、「イスラムとの対話」を言い出した。これは正解である。対話こそが解決の道。しかし現実にカブール郊外で行われているのは、対話ではなく、「威嚇」である。
オバマ大統領には二つの顔がある。ジキルとハイド。「核兵器をなくすべき」と演説する彼が、「テロとの戦い」を進める。なんというダブルスタンダードなのだろうか。

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このページは、nishitaniが2009年6月11日 21:41に書いたブログ記事です。

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