アフガン取材を振り返って

今回の旅を振り返ってみる。まずアフガンへは8年ぶりだったので、まずは優秀な通訳とドライバー、安心して宿泊できるホテルを探さねばならなかった。旅の最後に、そうしたスタッフを確保できたのは、収穫だった。

カブールには入れるだろうと感じていたが、バーミヤンまで行けたのはラッキーだった。バーミヤンは治安が安定していて、むしろカブールのほうが危ないことが分かった。
カブール郊外のモジリーン避難民キャンプで出会った避難民たちの話によれば、米軍はかなりの頻度で空爆を行っている。村人たちは米軍の空爆と、それに反撃するタリバンの攻撃にさらされ、家を奪われ、家族を殺され続けている。

おそらくあの避難民キャンプから「ニュータリバン」が出てくるだろう。父や息子を殺され、人生に絶望したとき、最後に爆弾を体に巻きつけて、ISAFやアフガン軍に突っ込む人々が現れても不思議ではない。

タリバンとは何か? アルカイダの実態がつかめないように、今やタリバンはかつて01年までアフガンを実行していたタリバンではなく、戦闘にさらされた無数の村から、出現し始めている「武装集団」が、「ニュータリバン」だ。

イラクでもそうだったが、「テロとの戦い」は、新たな、それも以前より多数のテロリストを生み出してしまう。「テロリストが村に紛れ込んだ」「テロリストは小学校に隠れている」などの情報があれば、米軍は周辺を容赦なく爆撃していく。これでは1人のテロリストを殺すのに、10人の民間人が巻き添えになる。やがて巻き添えになった10人の家族の中から新たなテロリストが生まれる…。

テロ行為に対しては、警察力で臨むべきである。ブッシュのように無謀な戦争をすれば、それは武器を大量に消費するだけで、テロリストを根絶させることはできない。

オバマ大統領は「イスラムとの対話」を言う。現在のイランにも基本的に冷静に対応していると思う。ブッシュとは違い、その点は評価できる。
しかし同じ人物が、アフガンでは「テロとの戦い」を続けていくのだ。いや、続けるというより「より強行に戦う」つもりのようだ。

北風と太陽。イラク&イランには太陽で、アフガン・パキスタンへは北風。この矛盾をどう見る?

残念ながらここではまだ結論は出ない。ただ日米欧はいまや未曾有の経済危機である。「仕事があるなら軍需工場でも働かざるを得ない」「武器であろうが、宇宙兵器であろうが、輸出して経済を活性化させれば良い」などの意見も出てくるだろう。
日本のように格差が広がると、自衛隊が魅力ある職場に見えてくる。年金、健保、ボーナス完備。
米国の軍産複合体と、その株式を操る金融資本にとって、やはり「テロとの戦い」は続けていかねばならない。

オバマ大統領の評価は難しい。マイノリティである黒人、イラク戦争に反対する姿勢、原爆使用の責任を認める…。それでいて現在の戦争は続けていく。
オバマではなく「オバマ政権」として見ると、ヒラリーは軍産複合体から献金をもらっているし、ゲーツ国防長官はブッシュ時代からの横滑り。ガイトナー財務長官は、もっとも「サブプライムをあおった男」なのだ。

またアフガンの将来を展望することも、やはり難しい。8月に行われる大統領選挙では、おそらくカルザイが再選される。再選されてもイランのように混乱はしないだろう。選挙結果では混乱しないが、戦争は続く。

やはりたった2回のアフガン入りでは、まだまだ見えてこないものが多い。できるだけ早い機会に、またカブールを訪れることにしよう。モジリーン避難民キャンプが、そのときどうなっているか?イラクではようやく難民たちがバグダッドなどへ戻り始めている。さてアフガンはどうなるのだろうか?

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このページは、nishitaniが2009年6月25日 16:45に書いたブログ記事です。

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