厳冬のカブールで 5

米軍の毒ガスを吸った子ども2 ブログ用.jpg 写真は、カブールのインディラ・ガンジー子ども病院にて。手にしているこの管は、この子どもの胃に直接入る栄養分の管。ISAF軍の空爆後、体調が激変した。

カブール中心街より車で、空港方面に15分、国道沿いにインディラ・ガンジー子ども病院がある。病院玄関には子どもを抱きかかえた父母が並んでいる。

RAWAのカブール担当者マヤールさんは、この病院に入院する子どもたちの支援を、粘り強く続けている。
マヤールさんの案内で、ガンジー病院の副院長にインタビュー。彼は、米軍が使用した劣化ウラン弾によるとと思われる影響で、アフガンにたくさんのがん患者がいること、そしてその数は増え続けていること、劣化ウラン弾だけではなく、化学兵器を米軍が使ったと思われること、などを医者の立場で証言した。
「できるだけ典型的な患者を」とのリクエストに、案内されたのが小児病棟。

写真の子どもは4歳。昨年ISAF軍(おそらく米軍であろう)の空爆で、母ときょうだい全てを殺され、生き残ったのが、父親とこの子どもだけ。
ISAF軍の空爆で、この子どもは肺呼吸が困難になり、胃腸の消化機能が著しく低下した。父親が公文書を持っている。
「ISAF軍が毒性のガスを空爆したので、この子どもは障害を持った」と書かれている。その証明書には、ISAF軍の空爆で、この子ども一家は、母ときょうだいを殺された、との証明も。
この4歳の子どもは、空爆後体重が減っていき、今では4歳にしてわずか9キロ。頭髪も抜けかけている。4歳で9キロ、そして服を脱がせてみると…。

心臓の辺りから管が出て、その管が二つに分かれている。
「毎日こうして注射している」。父がその管に注射器をあてるまねをする。消化機能が衰えたので、栄養分を直接、この管から内臓に注入しているのだ。

明らかな異常事態。それも空爆後に。

担当医師は劣化ウラン弾の存在を知っていた。しかしこの子の場合ウランの影響ではなく、化学兵器(毒ガス)の影響かもしれない。イラクのラマーディーから逃げてきた子どもにも、毒ガスとしか考えられない症状が現れていた。呼吸器と消化器を攻撃する毒ガスが、存在する。米軍はいったい何をしているのだろうか?なぜこのような事実が報道されないのだろうか?

その後、小児がん病棟を見て回る。
イラクとまったく同じ光景がそこに繰り広げられていた。白血病の子ども、抗がん剤の副作用によると思われる頭髪が抜け落ちた子ども、原因不明の吐血が続く子ども、様々ながんの子ども…。
がん病棟とともに、悲惨だったのがやけどの子どもたち。カブールはじめ、アフガンは寒いので、暖房の効いていない貧しい家庭の子もたちはつい火に近づく。暖かい衣服もなく、氷点下のカブールでは石炭ストーブが、冬を越す手段だ。
結果、衣服に火がついて焼け死ぬ子どもが後を絶たない。

やけどの子どもを撮影する。肉が赤く露出し、泣き叫ぶ。悲惨、そして地獄。貧困は、子どもを凍死させるし、時として焼け殺す。日本では考えられない事態が、アフガンで進行中である。
私はイラクで多くのがんの子どもたちを取材した。「想像以上の事態が進行中である」と、この「イラクの子どもを救う会」を立ち上げた。同じ被爆国として何かできることを、と支援活動を始めた。
アフガンでも、同じ状況が進行中であることがわかった。

劣化ウラン弾がアフガンでも使われ、そしてその被害者が急増している、という事実。
今回、それが初めて、私の中で証明された。

イラク戦争を「ブッシュの戦争」と呼ぶのなら、今のアフガン戦争は、「オバマの戦争」である。オバマの戦争も、同じように汚れ、腐りきっている。
急がねばならないのは、「オバマの虚像」を崩すことである。

トラックバック(0)

このブログ記事を参照しているブログ一覧: 厳冬のカブールで 5

このブログ記事に対するトラックバックURL: http://www.nowiraq.com/mt/mt-tb.cgi/289

コメントする

このブログ記事について

このページは、nishitaniが2010年1月20日 00:20に書いたブログ記事です。

ひとつ前のブログ記事は「厳冬のカブールで 4」です。

次のブログ記事は「アフガンにおける女性の位置」です。

最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。

Powered by Movable Type 4.01