アフガンにおける女性の位置

RAWAが送ってくれた写真 女性虐待 ブログ用.jpg 写真はRAWAから提供されたもの。夫に虐待され、身体は焼かれ、肋骨が折れていた。現在セーフ・ハウスで暮らしている。

今回の取材で、お世話になったのがRAWAのカブール担当者。RAWAとは、Revolution association of the women of Afghanistanの略。「アフガン女性解放協会」とでも訳される団体である。

RAWAのカブール担当者は、20歳代の若き女性。仮に名前をノリスさんとしておく。彼女は本名を明かすのを拒んだ。カルザイ政権からも、タリバンをはじめとするイスラム原理主義者からも、RAWAは狙われ、弾圧されている。
ノリスさんに会ったときも、「私たちの活動は、ここアフガンでは非合法なので、目立つと困る。どこか秘密の場所で会いたい」とのことだった。

実際にRAWAの創始者は暗殺されている。

インタビューの場所に選んだのは、ムスタファホテルの、とある一室。レストランやカフェなどでは誰が見ているかわからないので、ホテルには別々に入り、あらかじめ定めた部屋に入室する。
アフガンでは、一般的に男性である私が、女性を撮影するのは難しい。ノリスさんを撮影するのは、別の意味で配慮が必要だった。彼女は「男の前では顔を隠さねばならない」「女性は仕事をしてはならない」などというタリバン的な政策に真っ向から反対して、闘ってきた女性であるから、「顔出しインタビュー」は歓迎である。しかし政治的弾圧があるので「顔出しインタビューは困る」のである。先日も名前を名乗らない男から、「RAWAの活動を続けると、殺す」という電話脅迫を受けたばかり。
顔を隠してのインタビューで、今のアフガン女性の状況の一端を垣間見た。

―戦争未亡人が多いでしょ。彼女たちはどうして生計を立てているの?
「物乞いです。よっぽどラッキーな女性でないと、仕事には就けません。路上に出て寄付を求めて歩いています。最近、カルザイ政権が『路上での物乞い禁止』を言い出したので、未亡人たちは、さらに厳しい状況に追い込まれています」

―再婚できるのでしょうか?
「貧困や戦争で夫が亡くなった場合、夫の兄弟に嫁ぐ場合もありますが(イスラムでは4人まで妻を持てる)、経済的な理由もあって再婚できない場合が多いです」

―レイプも多いそうですね。どのような場合に、多くレイプされるのでしょうか?
「軍閥たちにレイプされる場合が多いです。銃を持っていますので逆らえません。イスラム原理主義者にも襲われる場合が多いです。被害を受けてもほとんど泣き寝入りです」

―勇気ある女性が、例えば警察に訴えたりできないのですか?
「もし警察に訴えたら、その女性は警官たちにもう一度レイプされます。実際にそうした例を私たちは見てきています」

―夫からの暴力被害(DV)も多いのでしょう?
「そうです。体中にアザを作り、骨折した状態で逃げてくる女性が多いです。私たちはそんな女性たちを保護する『セーフ・ハウス』を運営しています。夫が奪い返しに来る場合があります。奪い返されると、生死の問題になります」

―そんな暴力的な夫なら、離婚の自由もあるでしょう?
「法律では、あります。しかし実際は離婚は不可能です」

―妻が実家に逃げて帰ればどうなりますか?
「一族の名誉が傷ついた、と父や兄弟に殺される可能性があります。実家には戻れません」

―では家庭内暴力を耐え続けるしか方法はないのですか?
「唯一の方法が、自殺です。灯油をかぶって焼身自殺する女性が、多く出てきます」

―虐待されている女性を保護したり、戦争孤児を育てたりしているRAWAが、なぜ過酷な弾圧にあうのですか?
「男性は家事をしなくて良い、レイプしても捕まらない、暴力を振るって女性を従わせる、などという古い考え方は、男性にとって都合が良い。『イスラムの教え』という口実をつけて、そのような社会を、変えたくないグループがいるのです。それはイスラム原理主義者であるし、カルザイ政権も同じ考えです。したがって私たちは双方から狙われています」

ノリスさんの証言は以上のような内容だった。今回の旅では、RAWAに密着する時間が少なく、セーフ・ハウスや虐待の内容などを詳しく取材することができなかった。次回への宿題である。RAWAは旧ソ連からも狙われていた。権力者にとっては、「女性の解放」は都合の悪いことなのだろう。
昔、日本では「戦後強くなったのは、女性と靴下」と言われた。女性が強くなることは結構なことだ。アフガンほどではないが、イラクでも、出戻ってきた娘を父が殺す、という「名誉殺人」がある。
戦争で社会秩序が乱れ、レイプも増えている。タリバン時代はほとんど一件のレイプ事件もなかった。ばれたら公開処刑場で石投げ処刑だった。
石投げ処刑も許せないが、レイプの横行、そして警官によるセカンドレイプも、断じて許されないことなのだが…。

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このページは、nishitaniが2010年1月28日 16:51に書いたブログ記事です。

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