ジャララバードへ

戦車に上る.jpg

写真はカブールからジャララバードへ向かう国道。戦車の上で。

6月9日早朝5時、カブールからジャララバードを目指す。
今年の1月にジャララバードへ行った時、ジャララバード中央病院の院長ジュマル医師にお世話になった。そのアジュマル医師の案内でジャララバードの医療状況を取材することになった。
カブールからジャララバードまでは車で約3時間。比較的安全だが、何が起こるか分からない国なので、日の出とともにスタート。日没までにはカブールに帰ってきたいので早朝のスタートになる。

カブールからジャララバードまでの道は、アフガンでは珍しくきれいに舗装されていて快適なドライブ。
途中、カブール川をダムでせき止めた人造湖に展望台があって、そこに旧ソ連軍の戦車がこつ然と展示されている。アフガンゲリラがロケット砲かなにかで破壊した戦車を、ここに飾っている。
戦車に上ってみる。もしこれが今回のイラク戦争で破壊された戦車なら、ガイガーカウンターがピーピー鳴っているだろう。90年代以降の戦争では、戦車は劣化ウラン弾で破壊された場合が多い。
だがこの戦車は80年代に破壊されたもので、その点では安心だ。
戦車の中に入ってみる。時を超えた嘆きというのか、「ここで若きロシア青年の命が奪われた」という重い現実に直面する。

戦車のある展望台から2時間も走ると、ジャララバードに着く。
アジュマル医師と再会。医師に病院の中を案内してもらう。
アジュマル医師は、政府の中でかなり高いクラスにいるので、「米軍の戦争」「誤爆」「劣化ウラン弾」という言葉に敏感である。
質問が核心に触れそうになると、「政治的なことはいえない」と言葉を濁す。アメリカに占領されているこの国では、仕方のないことではある。
クラスター爆弾の不発弾で遊んでいて、爆発・重傷を負った子どもがいる。おそらく米軍がばらまいたものだと思うが、こうした症例はきわめて「政治的」なので、詳細を聞くことができない。

カンダハールと違って、ここジャララバードでは、「米軍の犯罪」をストレートに表現する人が少ないのが特徴的である。
これがもしカンダハールでの出来事なら、人々は「アメリーキー」と叫ぶ。
カンダハールは、タリバンの拠点都市で米軍とは「全面対決」の様相を示しているが、ここジャララバードは、「したたか」に局面を見つめている。米軍に殺されても、タリバン化せずにじっと耐えている、そんな雰囲気がするのである。
カンダハールとジャララバード。どちらもアフガンで2、3位を争う人口集中都市であるが、この戦争に対する考え方はだいぶ違うようだ。

個人的にいえば、私はジャララバードの方が「大人の対応」をしているように感じる。米軍の空爆や銃撃は決して許せないが、だからといって暴力で報復するのでは泥沼である。
ジャララバードのカブール川に架かる橋で、4日前自爆テロがあった。米軍車列を狙った自爆で、自爆後、米軍は戦車から周囲にいる人々を片っ端から連射し、14名を殺害した。しかしここジャララバードは、落ち着いている。米軍に反撃したい気持ちはやまやまあるだろうが、とにかく耐えている。

タリバニゼーション(タリバン化)。現地英字新聞に踊る言葉。
米軍が空爆すればするほど、農民たちがタリバンに加入する事態を、タリバニゼーションという言葉で表現しているのだ。

実のところ、農民が「タリバン化」すれば、米軍の思うつぼなのだ。戦闘が続けば、それだけ米軍は長く駐留できるし、たくさんの軍事費がつぎ込まれる。米軍の裏にいるアメリカの軍産複合体とそれを操る金融資本にとって、戦争ほどおいしい商売はない。
戦争ビジネスを打ち破るには、ガンジーのような非暴力の戦いができるのかどうか、である。
それが今、すべてのアフガニスタンの人々に問われているのだと思う。
ジャーナリストという職業としては、カンダハールのように「アメリーキー」と叫んでくれる人々が多いほど、「分かりやすい」のではあるが、戦争を終わらせるためには、それだけではダメだ。どんな方法で「米軍の無法さ」と闘っていくのか?
アフガニスタンの人々に課せられた、大変難しい課題である。


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このページは、nishitaniが2010年6月10日 03:43に書いたブログ記事です。

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