なぜやけどが多いのか?

10月16日、今日は朝からパルワンセ避難民キャンプを訪れて、避難民とお茶を飲む。薄汚れたテントに無数のハエ、そしてにごった水。「下手にたくさん飲んだら、また正露丸のお世話になるな」と感じるが、これはいわゆる「任務」である。というのは、避難民たちがどのようにして茶を沸かして、寒い冬を乗り切っていくのか、についての取材なのだ。

すすで黒くなった空の石油缶を逆さにして、中に枯れ草や薪を入れ、着火。歩いて10分ほどのところにある井戸からくんできた水(これが少しにごっている)を沸かす。お茶葉は透明な瓶に入っていて、こぼさないよう慎重にやかんに入れる。この作業は全て地べたで行う。私たちが珍しいので、子どもから赤ちゃんまでが近づいてきて、ビデオカメラやデジカメを興味津々で眺めている。

寒い夜、暖をとるためには茶を沸かして飲むのが一番だ。ガス器具はもちろん、毛布さえ不足してるのだ。電気のないキャンプは漆黒のヤミの中である。そんなとき湯気をあげるヤカンは、赤ちゃんの興味の対象。「しゅんしゅんと鳴っているもの」に近づき、倒してしまう。そして悲劇が繰り返される。
60%やけど 熱湯を浴びて 2.jpg
写真は、本日インディラガンジー子ども病院のやけど病棟で撮影して来たもの。
「やけど病棟」は何度訪れても「このようの地獄」である。今日だけで5人の子どもが担ぎ込まれている。一番多いのが熱湯をかぶるパターン。次は暖房器具に着火しようとして失敗するパターン。日本では台所と寝室は分けれていて当たり前。ヤカンや鍋は、赤ちゃんの手の届かないテーブルの上。従ってこのような事故はほとんど起こらない。

やけども痛みで泣き叫ぶ女の子.jpg つまりやけどは貧困が原因なのである。一つのベッドに2人の赤ちゃん。傍らには母親が沈痛な面持ちで座っている。身体の65%が大やけどの子どもは、危篤状態で、今日明日の命かもしれない。 先日手渡した薬と栄養剤で命がつながればいいのだが。 生まれつき腸が出ていた子ども.jpg 次に新生児集中治療室を再訪。また一人先天性異常の子どもが運び込まれている。この赤ちゃんは腸が体外に飛び出たまま生まれてきた。北部タロカンで一週間前に出生。近所の人に金を借りて、ここまでやってきた。 「原因は分からない。しかし戦争で使用された爆弾の影響だと思う」と付き添いの医師。 私の取材も残りわずかとなったが、本日通訳のサバウーンにデジカメを買ってあげる。彼が引き続き取材するので、帰国してからもこのブログで「その後のインディラガンジー子ども病院」「その後の避難民キャンプ」をお伝えできると思う。ちなみに彼は、12月3日から長崎の佐世保で開かれる「日本平和大会」にゲスト出演する予定だ。12月にはぜひ彼のスピーチを聴いてやってほしい。

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このページは、nishitaniが2010年10月16日 20:28に書いたブログ記事です。

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