自爆では解決しないのに…

シティセンター テロ zennkei  ブログ用.jpg 写真は自爆テロで大破したカブール、シティセンタービル

「ファック!また渋滞だ」。サバウーンがハンドルを叩きながら、毒づく。カブール市内は人口急増のため、慢性的に渋滞するのと、一昨日まで降っていた雪が溶けて、道路が川の状態になっているのと、それと自爆テロがあり幹線道路が封鎖されてしまったのとで、トリプルパンチの大渋滞。

上空をアフガン軍ヘリが飛び、携帯電話が切れる。自爆テロ、爆弾テロが起こった直後は、携帯電話の電波が切れる場合が多い。なぜか?犯人は携帯で爆破させるので、2時被害を恐れた米軍と当局がしばらく電波を止めるのだ。

それにしても大渋滞で前に進まない。抜け道を通り、警官にプレスパスを見せて封鎖をこじ開け、ようやくたどり着いた現場には、すでに警官と軍、民間軍事会社の社員たちと地元マスコミで大騒動。
シティセンター テロ 犯人の肉が車に ブログ用.jpg


現場は「カブールシティセンター」と呼ばれる、大きなデパートビルの玄関だった。この場所でタリバンとデパート警備員の銃撃戦が勃発し、追い込まれたタリバンの若者が自爆した。ビルの玄関に、緑をバックに白い文字の「CITY」と書かれた看板が吹き飛び、ガラスが飛び散り、犯人のものと思われる手足が飛び散っている。警官が何やらつかみ上げ、トタンの中にその「何か」を隠した。
一瞬だが、見てしまった。爆弾で吹き飛ばされた犯人の頭だった。目を見開き、髪が燃え、口を半開きにしていた。カメラを回していたサバウーンが叫ぶ「頭だよ頭!」。その声を聞きつけたカメラマンたちが一斉に「そのトタン板」にシャッターを切る。

「どけどけ!下がれ下がれ!」警官たちが叫ぶ。その声に後ずさりしては、また現場に近づくカメラマンたち。そんな様子を背景に地元TVが現場中継をはじめる。
「ニシ、こっちへ来い!」。サバウーンが私の袖を引っ張って道路の反対側へと誘導。路肩に張り付いていたのは、犯人の身体の一部。爆発地点から20mは離れているだろうか?身体に爆弾を巻き付けて自爆すれば、当然身体はバラバラに飛び散る。理屈では分かっているのだが、現実を見てしまうと…。

恐ろしい。

今、この原稿を書きながら、つくづく自爆は恐ろしいものだと再認識する。止めようがないのだ。このシティセンターが自爆テロにあったのは、これで2回目。警備体制は十分だった。3日前、このデパートに靴を買いにきた時、あるいは昨年10月、ここでRAWAのメンバーとお茶を飲んだ時、全ての場合に金属探知機で身体検査をされ、持ち物を調べられてから入場した。玄関を入るときらびやかな宝石店が並んでいる。「ここがホンマにカブールか?」。最初に来た時、驚いたものだった。
アフガンでは貧富の差が極端に広がってしまった。おそらく犯人たちは、「米軍に協力して金儲けをした人々」を恨み、犯行に至ったのだろう。

しかし殺されたのは貧しい警備員2人だった。3日前、私の身体を検査し、通過する際に「サラーム(平和を)」とあいさつしてくれた、あの警備員だ。玄関前なので金属探知機は鳴らないし、いきなり銃撃する犯人に対して即座に反応することができなかったのだろう。

またも罪なき人々が、理由もなく殺されてしまった。私たちの到着後、さらに20分ほどして4人の米兵が現場検証にやって来た。米兵に事情を説明しているのは民間軍事会社の社員たちだ。
「ニシ、そろそろ現場を離れよう。アナザーボンビングが来るかもしれない」。サバウーンの提案にうなずく。米兵や警官が集まった時点で、次の自爆が来る可能性がある。そうなれば道連れだ。
現場の遠景をカメラに収めつつ、ホテルへと戻る。

「サバウーン、何といったらいいか…」。「ニシ、早く忘れたいよ…」。その後、しばし無言。彼はこの街でずっと暮らさねばならない。普通のカブール市民にとって、あの場所での買い物は楽しみの1つだった。このまま市民から笑顔が消えていくのが怖い。「アフガン泥沼」。この状況はまだ続く。

トラックバック(0)

このブログ記事を参照しているブログ一覧: 自爆では解決しないのに…

このブログ記事に対するトラックバックURL: http://www.nowiraq.com/mt/mt-tb.cgi/367

コメントする

このブログ記事について

このページは、nishitaniが2011年2月15日 02:33に書いたブログ記事です。

ひとつ前のブログ記事は「特殊部隊要請基地」です。

次のブログ記事は「どこから見てもハザラ人?」です。

最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。

Powered by Movable Type 4.01