その日の朝、少女は灯油をかぶり…

焼身自殺 少女 顔とプレゼントアップ ブログ用.jpg 写真は、焼身自殺を図った少女 日本からのプレゼントとともに

2月16日午前10時、ヘラート州立病院へ行き、副院長で広報担当のシラジーさんと面会。本日は休日であるにもかかわらず、わざわざ取材に付き合ってくれる。
まずは救急病棟。カブールでもそうだったが、熱湯をかぶってやけどする子どもが多い。そして交通事故。アフガンでは原付バイクに4人乗り、なんていうのが珍しくない。当然、事故も多く、ヘルメットなしの(アフガンでは当たり前)子どもが大けがをする場合が多い。
一通り取材したあと、別棟のやけど専門病棟へ。子どものやけど患者を撮影してから、女性のやけど病棟、重症者の病室へ。女性なのでいきなりビデオカメラを回しては行けない。医師に尋ね、患者自身に許可を得てから。

ベッドには番号がついていて、14番目の患者は身体中に包帯がまかれ、一目で危ない状態だと分かる。
「スーサイド(自殺未遂)」と医師。「この娘はのぞまない結婚を強要されて、一週間前に灯油をかぶり、火をつけた」。息をのみつつ医師の言葉に耳を傾ける。
「名前は?」「アブサナー」
「歳は?」「17歳」。
「この娘は身体の75%以上に火傷を負っている。おそらく助からない」。
医師の説明にうなずきつつ、「どうして自殺を?」「あの人と結婚したくなかったから」
「結婚は誰が決めたの?」「お母さん、いえ両親が」

両親から「結婚しろ」と迫られたのは親戚の男。結婚を迫られたその日の朝、彼女は人生に絶望して、灯油をかぶって火をつけた。そして…。死にきれず、ここに運ばれてきたのだ。
「その親戚の男の人を好きではなかったの?」
「大嫌い」と小さくつぶやく。

ヘラート州立病院は、この地域で唯一重症患者を受け入れることのできる病院である。ここには、カンダハール州、ヘルマンド州、ゴール州、ファラー州など周辺地域から、大量に患者が運び込まれる。アフガンの貧しい村々では、娘を商品のように、金持ちの男に嫁がせる場合がある。親が決めた理不尽な決定を、娘は拒否することができない。拒否すれば、「一族の名誉を穢した」と、父や男の兄弟、叔父などに殺される場合もある。いわゆる「名誉殺人」だ。

これはDVについても当てはまる。結婚したものの、夫がどうしようもない暴力男だったら…。日本でもそんな話を聞くが、ここアフガンでは離婚はまず無理。離婚すれば、やはり「名誉殺人」の可能性がある。つまり実家には帰れない。しかし夫の暴力は続く。残されたただ1つの道は、「灯油をかぶって火をつけること」なのだ。

日本でも昔、「娘の身売り」話があった。21世紀、カブールやヘラートの街にiPhoneが売られている時代に、焼身自殺せざるを得ない世界もある。

ちなみに、このヘラート州立病院は、30年前にイラクが建てた。
「サダーム・フセイン!」と副院長のシラジーさんは親指を立てる。
この病院には米軍の空爆で重傷を負った人々も多数やってくる。
アメリカが傷つけた人々を、フセインが救っている…。

Which is terrorist Sadam or America? ( いったいどっちがテロリストなんだ?) 
私の問いに、「アメリカだよ!」とサバウーン。

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このページは、nishitaniが2011年2月16日 23:30に書いたブログ記事です。

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