ベンガジの状況2

パソコンのバッテーリーがあと1時間半。誰かマックブックを持っているジャーナリストに充電させてもらうか、ベンガジの電気屋で充電器を探すか。
いずれにしても、打開策を取らねばならない。

5月20日、本日は金曜日なので金曜礼拝を取材。ベンガジの港に面した大通りが、今は歩行者天国になっていて、そこに特設ステージと広場がある。2月17日の革命前までは、人々はモスクで祈っていたのだが、革命後、この「革命広場」に人々が集結し、祈りを捧げるようになった。
午後1時、ゾロゾロと大勢の人々が集まってくる。イマーム(イスラム教のお坊さん)が大群衆を前に演説した後、朗々とコーランを読み上げる。
おそらく1万人を超える人々が一斉に立ち上がり、そして地面にひれ伏す。
「アッラーアクバル!」
一斉に放たれる祈りの言葉。ステージの上から撮影するが、かなりの迫力。ステージの背後には、絞首刑になったカダフィー人形。

カダフィー人形が風に揺られる中、礼拝を終えた人々が「カダフィー打倒」を口々に叫ぶ。人々の背後にはイギリス、フランス、イタリアなどヨーロッパの国旗に混じって、星条旗がはためく。
大量のイスラム教徒の背後に星条旗とは、何とも不似合いな…。

しかしこの光景には既視感がある。99年6月の旧ユーゴスラビア、コソボ。あの時もアルバニア系住民が、「サンキュー、アメリカ!サンキュー、クリントン」と叫びながら万歳していた。やはりあの時もNATOがセルビア軍を空爆し、アルバニア系住民が急速に支配地域を拡大していた。
確かに「狂犬カダフィー」は、多くの無実の人々を虐殺した。ベンガジの人々がカダフィー独裁政権打倒で立ち上がり、勝利を収めたのは素晴らしいことだ。
その「新革命政権」を守るため、NATOは空爆という非常手段で、一方のみを肩入れしている。

2月にバーレーンを取材したとき、やはり独裁者のハマド国王は一方的に無実の人々を虐殺していた。しかしNATOはハマド国王の軍を空爆していない。
これはダブルスタンダードではないのか?イスラエルの核は認めるくせに、イランや北朝鮮の核は絶対に認めないというような。

星条旗やユニオンジャックに並んで、UAEやクゥエート、カタールなどの国旗も見える。これら湾岸諸国は、自分たちが独裁を続けていて、かつバーレーンの独裁国家に軍隊を送り、武器を援助しながら、リビアではカダフィー独裁打倒を叫び、民主主義を言う。この欺瞞に人々は気づいているのか、気づいていながら、(武器や金を援助してくれるので)容認しているのか?
まだまだ取材を続けないと、リビア問題の真実が見えてこない。この国では2月17日以降、学校もオフィスもシャットアウトされ、多くの若者が民兵となりストリートに立つ。
「早く学校に行きたい」。プラカードを持った小学生がいる。確実に言えることは、彼らが一番の被害者になっているということだ。

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このページは、nishitaniが2011年5月20日 23:23に書いたブログ記事です。

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