ベンガジの状況 ③

ベンガジの電気屋を歩き回ったが、マックコンピューターを扱う店は皆無だった。バッテリーはあと1時間。ピンチだ。

本日(21日)はベンガジ子ども病院と医療センター緊急病棟を訪問。医療センターには多数の戦争犠牲者が入院していた。

2月20日、ベンガジの民衆蜂起に刺激されたミスラタの人々が、打倒カダフィーで立ち上がった。「独裁打倒」「リビアに自由を」。ミスラタのメーンストリートを平和的にデモをしている人々に、遥か彼方から「地対空マシンガン」の砲弾が飛び込んできた。数キロ先からカダフィー軍が撃ってきたのだ。この「地対空マシンガン」の銃弾の威力は凄まじく(当然だ、飛行機を撃ち落とすのだから)、たった一発の銃弾でも、多くのデモ参加者を死傷させた。

右手の親指、左手の薬指と小指を失った男性。「俺はミスラタの漁師だった。あの時、武器も持たずに、ただ行進していただけだった。この指では、もう漁に出ることができない」。

潜水夫として、漁船の修理にあたる男性は、別のデモで左足を射抜かれていた。
「俺たちは武器を持たない普通の市民だ。左足のすねの骨が欠損しているので、もう歩けないかもしれない。もちろん潜水夫としての仕事は、無理だ。カダフィー軍は戦車から撃ってきた。町にはカダフィーの雇った外国兵があふれていた。チャド、マリ、ナイジェリア、南アメリカからも来ていたよ」
えっ、南アフリカではなくて?ブラジル?
「コロンビアだ。それも女性兵士だった。噂では、彼らの日当は一日3千ドル。(約27万円)カダフィーは狂っているよ」。
戦車砲で撃たれた後、彼はまずトルコの病院に送られた。同じ船の中に負傷した母子がいた。母親の腕を貫通した銃弾が、子どものアゴの骨を砕いていた。カダフィー軍の使用する武器は、最新鋭の強力な物だ。

ナイジェリア人が下半身不随になっている。2月25日、ミスラタに出稼ぎにきていた彼の家に、数人の兵士が侵入してきた。兵士たちは彼を捕まえて殴る蹴るのリンチを加えた。ある兵士は銃で殴り掛かり、ある兵士はひたすら蹴りを入れてきた。やがて意識を失って2日間が経った。気がつけば隣で友人のイブラヒームが死んでいた。彼は背中の神経をやられたので下半身不随になった。

なぜ彼の家が襲われたのか?殴りかかる兵士たちはアラビア語をしゃべっていた。つまりリビア人だろう。カダフィー軍なのか、それとも…。
奇跡的に一命を取り留めた彼は、赤十字の船でベンガジまでやって来て、ここに入院した。入院生活はすでに3ヶ月。陰茎に管を通して、おしっこを取っている。下半身は動かない。ナイジェリアから家具職人としてミスラタに出稼ぎに来て2年目だった。
「リビアを選ばなければ良かった。違う国で働いていたら…」弱々しく彼がつぶやいた。

入院患者の9割以上がミスラタ出身者だった。そのミスラタには、船でしか行けない。船で行くには片道35時間。つまりミスラタを取材しようと思えば、往復に丸4日、そして船はいつ出るか分からない。陸路?車で行けば、途中のカダフィー軍支配地域で、おそらく捕まってしまう。飛行機?現在、NATOの空爆で上空は「ノーフライゾーン」になっていて飛行機は飛べない。
さて、船で行くべきか、それともベンガジにとどまるべきか。

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このページは、nishitaniが2011年5月22日 00:07に書いたブログ記事です。

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