2011年7月アーカイブ

星野 ブログ用.jpg 問題が読み上げられる。「水力や太陽光発電は発電時にCO2を出さない」。みんなゾロゾロとYESの方へ移動する。「これは簡単だね」と元阪神の星野監督。「では原子力発電は発電時にCO2を出さない」。みんな迷いながら、YESとNOを行き交う。「原子力発電は発電時にCO2を出しません」。正解が読み上げられ、画面に0の大文字。「ゼロかぁー」「ゼロなんだー」。驚きの声とともに星野監督が大写しになり、「いいねー、真っすぐ低炭素の社会へ」。福井の原発の写真をバックに、「関西電力」のロゴ。 福島原発事故後、このCMは全く流れなくなったが、昨年まで関電は「星野監督バージョン」、東電は「草野仁バージョン」など、電力会社は原発に関するCMをバンバン流していた。ここではなぜこのようなCMが流れていたのか、について検証しよう。

総括原価 ブログ用.jpg ここに車が欲しい人がいるとしよう。その人はトヨタにするか日産にするか迷っている。そんな時にトヨタのCMが流れる。「よし、プリウスを買おう」。これがCMの効果である。 一方関西電力はどうか?関電は地域独占の企業である。関西に住んでいる以上、電気を使いたければ必ず関電と契約しなければならない。 つまり、関電も東電もCMを流す必要がない。黙っていても契約してもらえるのだから。 ではなぜ関電や東電は、不必要なCMを流していたのか?

その答えは電気料金の仕組みにある。
私たちの電気代は、「総括原価方式」で決定される。
電気代は電気を作るのにかかった必要経費と、電力会社が受け取る3%の適正報酬を足した額で決まる。原発CMは「原子力発電の効果を正しく知ってもらう」ための「経費」であるから、CM料金は、電気代金に含まれてしまう。つまり関電は、CMをいくら流しても、自分の腹は痛まない。後から電気代として回収できる。一方、テレビ局はどうか?冒頭の「星野監督出演 原発YES OR NO編」を、一回流して仮に100万円だとする。一日10回流れれば、それだけで1千万のCM収入が、読売放送、関西テレビ、毎日放送、朝日放送などに転がり込む。結果、「原子力は安全です」「クリーンなエネルギー」というウソのCMがお茶の間に流れる。
逆に「原発は地震が来たら壊れるよ」「チェルノブイリ級の事故が起きれば、故郷はなくなってしまいます」などのドキュメンタリーをテレビで流せば、東電や関電が激怒するので、テレビ局は「自粛」する。
電力会社は、このようにしてテレビや新聞を支配した。マスコミを握り、根拠のない「原発安全神話」を作っていったのだ

この電気代の仕組み=総括原価方式は、電力会社は喜ぶが、私たち庶民にとってはとても問題のある制度である。

もんじゅ ブログ用.jpg

例えば福井県の「もんじゅ」。あれは約1兆円もかけた、危険きわまりない「壮大な無駄遣い」であるが、電力会社は1兆円×3%=300億円を、適正報酬として手に入れる。仮に「もんじゅ」を節約して1000億円で造ってしまえば、30億円しか儲からない。
日本に高価な原発が、なぜ54基も造られていったのか?
それは「原発が高価なら高価なほど、造れば造るほど」電力会社が儲かる仕組みだったからだ。結果、どうなったか?
日本人は先進国で最高レベルの高価な電気料金を支払わされているのである。


カッパ ブログ用.jpg


CMに話を戻そう。日本の電力会社が「電気事業連合会」を作っていて、現在は関電の八木社長が会長を務めている。この「電事連」もCMを流していた。これは池の中から謎の「エコガッパ」が現れ、やはり「原発は発電時にはCO2を出しません」と宣伝する。子どもがこれを見ればどう思うか?「原発は地球温暖化の切り札で、クリーンなんだ」。巨費を使って子どもだましのウソ宣伝をするな!と怒らねばならない。
さらに電力会社の傘下には「天下り、子会社」がいる。例えば「原子力発電環境整備機構」(NUMO)のCMは、「使用済み核燃料をどこでどう処分すればいいか?」について、「地下300mの穴を掘って、そこに埋める」と説明。最後に女優の岡江久美子が「私は、(最終処分場が)必要だと思います」。
おいおい、ちょっと待ってくれ!周囲2m以内に近づくと、即死するといわれる危険きわまりない「高レベル核廃棄物」は、無害になるまで10万年から100万年かかる。神戸の六甲山は、100万年前は海の底だぞ。地震の震源は地下数百mの場合が多い。そんな危険なものを日本のどこに埋める?
答え。埋める場所がない。ではどうするか?
毎日新聞のスクープによれば、「モンゴルの大平原に埋める」そうだ。
原発はまさに「トイレのないマンション」で、原発を動かす限りどんどん使用済み核燃料が出てきて、その処分に多額の経費が必要になる。だから私は「即刻、止めるべし」と考えている。

現在、東電の賠償金は数兆円に上るとされる。CMを流す金があるなら、その金を被災者に回すべきだ。原発事故後、東電の「おわびCM」が流れた。本当におわびする気持ちがあるのなら、役員報酬を全て返上し、全てのCMは中止、そして福島で今なお、避難所暮らしをしている人の元に持っていくべきだ。
そしてテレビ局、新聞社など「原発マネーに群がったマスコミ」や、北野たけし、アントニオ猪木、草野仁、岡江久美子、星野監督など「原発文化人たち」は、東北の人々に謝罪して、今までのCM出演料や雑誌、新聞の原稿料などを募金すべきなのだ。