WTCビル問題 提訴にあたって

日付が変わっていよいよ本日から、大阪地裁で松井知事に対し、「橋下徹前知事に、WTCビル購入と庁舎移転で浪費した96億3千万の税金を返還するように命令せよ」という住民訴訟が始まる。

明日、裁判所でなぜ80名を越える大阪府民が、この裁判を始めたか、について説明することになる。そのため、経過をまとめたので、以下、ご紹介する。

私たちがなぜ訴訟するに至ったか。

⑴ そもそもの発端
まず08年8月、就任まもない橋下知事がこのビルを視察した際、「関西再生の光が明石海峡の奥から見えた。ここしかない」と、ほぼ独断で購入&移転を決定した。しかし府議会議員や専門家などから、「耐震性に疑問がある」「防災拠点にするのは無理」「遠くて不便だ」など異論が噴出。そんな「真っ当な意見」に全く耳を貸さず、橋下前知事は突っ走った。

⑵ 府議会への恫喝
09年3月、府議会は移転にも購入にも反対した。知事は09年10月に再度移転条例を提案、「否決されれば出直し知事選挙、議会解散」など府議会議員を脅迫しながらの採決だった。この結果、府議会は「移転条例には反対だが、購入予算には賛成」という玉虫色の結論を出した。
ここで特記すべきは、3月議会は無記名投票だったが、「これでは誰が賛成し、反対したか分からない」と前知事は記名投票を要望。10月議会は府議会議員が「恫喝」された中での、記名投票だった。
その結果としての、「購入に賛成、移転に反対」。

⑶ 移転条例は否決されたが
府議会における2度の移転案否決にも関わらず、知事は10年4月頃から11月頃にかけて、職員の引っ越しを開始させ、現在はWTCビル(咲洲庁舎)に本庁舎5千人中、約2千人の府職員が引っ越しを完了させている。これは府議会が移転条例は否決したものの、移転費用を含めた予算を通過させたからである。

⑷ 地震が来た
WTCビルは、大阪南港の埋め立て地に建てられた55階建ての超高層ビル。南海、東南海地震が大阪平野を襲えば、咲洲自体が陸の孤島になってしまう。はたして大丈夫なのか、と少なくない人々がやきもきしていた。
そして今年3月11日、巨大地震が東日本を襲った。遥か彼方で起こった地震にも関わらず、WTCビルは長周期振動で大揺れ。ビル壁のひび割れ、天井パネルの落下、水道管の断裂など350カ所に及ぶ被害が出た。
⑸ 他人(特に職員)には厳しく自分には甘い
地震後、あのビルに移転するのは最初から無理だった、という常識的な指摘に対して、知事は「当時は巨大地震を予想していなかった。予測できない事態で責任を負うなら政治は一切できない」と開き直った。
原発事故は予測できなかった。想定外だ」と言い訳する東電ソックリの対応だった。

⑹ ついに移転断念
昨年8月、4回に及ぶ専門家を含めた会議の答申を受け、さすがに橋下知事はWTCへの全面移転を断念した。しかし2千人もの職員、来庁者、テナント営業者などの安全を考えると、早期に耐震工事を行わねばならない。その工事費が一部報道では130億円もかかるといわれている。購入費約85億、職員の移転費約11億、耐震工事費(今後いくらかかるか分からない)は全て、私たち府民の血税である。
「府庁舎が老朽化しているのであれば、現地で建て替える」のが普通の知事の判断ではないだろうか?

⑺ 拙速で強引だったために
府議会で移転条例が否決されたあと、ある府議会議員は、「結論を急がず、特別委員会で議論してはどうか」と提案した。通常、知事と議会の判断が分かれるときなどは、「継続審議」になる。ところが、前知事は「取り憑かれたように」移転を急いだ。もし特別委員会が開かれていれば、その間に311が来て、人々の地震に対する認識が変わった。つまり購入も移転もしなくて済んでいた。
つまり、「橋下徹という個人の性格」「すぐに白黒つけたがる」「敵を作り(この場合は移転反対の府議会議員)叩いて、自分の人気を上げる」という唯我独尊の府政運営がなければ、無駄な税金を浪費しなくて済んだのである。
以上が提訴に至る経過である。

※今後の闘い
今後裁判では、⑴ 購入前に、この「欠陥ビル」について、ちゃんと調べていたのか。⑵ なぜ府議会が移転条例を否決しながら、購入&移転予算を認めたのか。⑶ そもそも長周期時振動や液状化、陸の孤島化などを、「知見」としてどこまで考慮したのか。⑷ 交通至便な大手前から、無理して南港のWTCに移転する合理的な理由はあったのか。⑸ 出直し知事選挙などの恫喝行為で、民意が歪められたのではないか。
などなど。

上記のような点について、橋下市長本人を証人喚問するなり、府議会議員の証言を取るなりして、私たちはまず「真実を知りたい」と思う。その上で不当な購入&移転だと証明されたのなら、その分を返還させたいと考える。
これから裁判が始まっても、おそらく本人は不誠実なコメント、逃げ、責任転嫁などに終始するだろう。しかしこの問題は曖昧にすることはできない。数年かかるかもしれないが、勝利するまで闘いたい。

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このページは、nishitaniが2012年1月12日 00:51に書いたブログ記事です。

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