大雪の避難民キャンプで

リヤカーで薪を運ぶ子ども ブログ用.jpg 写真は、チャライカンバーレ避難民キャンプ前で、薪にする木材を運ぶ子ども。

2月3日、カブールは朝から大雪。通訳のサバウーンと9時半にホテルで待ち合わせしていたが、彼は自宅の雪おろしをした後、交通渋滞に巻き込まれたため、約1時間の遅刻。
午前10時半の時点で気温は氷点下5度、車で町へ出るが、人通りはまばら。のろのろ運転で渋滞する市内を抜けて、チャライカンバーレ避難民キャンプへ。

キャンプは雪で覆われていた。子どもが雪の中で遊んでいるが、見るからに寒そう。素足にサンダル、ぺらぺらの生地一枚の民族衣装に、どこかのNGOが緊急援助した子供用防寒具を着ている。かじかんだ指で、雪を食べている。お腹がすいているのだ。
私が、子どもを撮影していると、たちまち群衆が取り囲む。「息子に着せる服がない」「食料も燃料もない」「金をくれ」…。一番ほしいものは何だ、という問いには「全部」あるいは「金」という答えが判で押したように返ってくる。

キャンプの前を、リヤカーに雪で湿った材木を運ぶ子どもが通る。ガスも石油もないので、市場でゴミを拾い集め、キャンプまで運んでいるのだ。
カメラを回しながら、一通り聞いていく。この木材はもちろん燃料なのだが、市場まで片道2㌔、往復4㌔の道のりを、リヤカーで運ぶ。学校は?との問いには、「行ってない」。文字を読めるか聞いてみたが、読めない、とのこと。小学校高学年くらいだが、読み書きはできない。
「13+11は?」。しばらく考えて、「25」。正確な計算もできない様子だ。
「学校に行って、文字を読めるようになりたい」と語ってくれたが、現実は厳しい。

そんな取材をしていると、「俺の娘が昨夜死んだ。午前中に埋葬を済ませた」という男性が。25歳でカンダハール出身。2年前、米軍の空爆で村を破壊され、彼自身も爆弾の破片を受けて傷ついている。「もうカンダハールには住めない」と感じて、カブールまで逃げてきた。しかしカブールは、カンダハールよりずっとずっと寒いのだ。彼には7人の子どもがいて、一番下の赤ちゃんが3日前に生まれたが、昨晩息を引き取ったのだ。出産直後の妻は、自身も出産によって病気になっていて、さらに我が子を亡くしたショックで臥せっている。妻にインタビューをしたいが、ここアフガンでは女性にカメラを向けるのはタブー。妻の命に別状がなければいいが。
7人の年齢攻勢は、8歳、7歳、6歳、5歳、3歳、2歳、そして昨夜亡くなった生後3日の赤ちゃんだった。避妊の習慣も知識も避妊具もないので、妻は妊娠、出産、妊娠を繰り返してきたことになる。
父親の腕の中で2歳の娘が、寒さで泣き始める。このまま寒さが続けば、この2歳の娘も亡くなるかもしれない。何しろ今週、このテントの周囲だけで5人の子どもが亡くなっている。2歳の娘は、靴下もズボンもなく、雪の中を下半身裸で過ごしている。絶望的な状況。急いで毛布を配らねばならない。このキャンプを、もう10数回も訪問しているが、一度もカルザイ政府や国連に出会ったことなし。多額の復興費、国連への募金は何に使われているのか?この人々はずっとここで見殺しなのか?

10分もすると指が凍り付き、靴の中に雪が入ってきて足指の感覚がなくなってくる。防水のスキーシューズが必要だった。
雪の上の物乞い女性 ブログ用.jpg

一通りキャンプを取材して、帰路につく。カブール市内への国道で、ブルカを着た1人の女性が、道ばたにうずくまって物乞いをしている。
雪の中に座って、通り過ぎる車に手を差し出している。もちろんブルカは防水ではないし、薄いペラペラのナイロン生地である。そんなブルカで、雪の上に何時間も座っているのだ。

彼女はシュマーグルさん(48)で、アフガン内戦が始まりイランに逃げた。イランで難民生活をしていたが、イラン政府から追い立てられ、3年前にカブールに戻ってきた。夫とは生き別れていて、イランのどこかに住んでいるはず。
仕事もなく、扶養してくれる親族もいないので、こうして毎日物乞いに出てくる。一日座って、平均100〜200アフガニー。日本円で300円程度。

カルザイ政権は、国内避難民はもちろん、彼女のような帰還難民にも、何の救済もしていない。アフガンを取材するたび、絶望感に教われるが、特に冬のアフガンは極限状態である。ここでは毛布一枚、石炭一袋で助かる命が、みすみす奪われている。何とかならないのか。

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このページは、nishitaniが2012年2月 3日 22:39に書いたブログ記事です。

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