子どもたちに重くのしかかる戦争犯罪

甲状腺がんの少女 ブログ用.jpg

写真は、インディラガンジー子ども病院で出会った甲状腺がんの少女


2月7日午後3時、ハビーブ医師と再会。彼はこの病院に勤めつつ、自分のクリニックを開院している。病院にもクリニックにも患者が一杯なので、ダブルワークをせざるを得ない。
本日はあいさつだけにしようかと思ったが、ハビーブが一通り病室を案内するというので、彼に従う。
まずは肺炎の重症患者から。生後数ヶ月の赤ちゃんが、1つのベッドに2人ずつ寝ている。傍らには母親が2人。そんなベッドが続く。何しろ氷点下10度以下で、ゴミを燃やして暖をとっているのだ。風邪引かない方がおかしいし、肺炎になるのは当たり前だ。それでもこの病院まで来れた赤ちゃんは助かるが、ここにたどり着けない子どもは死んでしまう。タクシー代がないばかりに命が消えていくのだ。

次にがん病室へ。白血病の子どもたちが横たわっている。その中に13歳の少女。スカーフを取ると、異常に膨れ上がった首筋。甲状腺がんである。激戦地のガズニ出身。劣化ウラン弾の放射能の影響だろう。半月前、高熱が出て、朝目覚めたら、首が腫れ上がっていた。ガズニからここまで近所の人々にお金を借りてやってきた。チェルノブイリでもそうだったが、この年頃の少女に甲状腺がんが多発し、甲状腺を取り除く手術跡が首に残ったので、「チェルノブイリネックレス」と言われた。あらためて福島の子どもが心配になる。

新生児室へ。やはり先天性奇形の子どもが保育器の中で眠っている。背中に頭ほどの大きな腫瘍。この症状もイラク、アフガンに共通している。「maybe depleted uranium (もしかすると劣化ウラン弾の影響?)とハビーブに尋ねると、「maybeではない、isだ」(劣化ウラン弾に決まっている)との返答。しかしこの国では、この事実を医師がおおっぴらに表明することはできない。「高度に政治的な問題」なので、タブーになっている。
やけどの子ども 顔アップ ブログ用.jpg


やけど病棟へ。毎回訪れるが、この世の地獄だ。大きめのストーブに落下した赤ちゃん。両足と両手が変色している。組織がもう死んでしまっている。「明日、切断する。この子は両手両足を失う」。弱々しい声で泣く生後半年ほどの女の赤ちゃん。この子は今後「ダルマのような人生」を送るのか?
6歳の男の子が両足に大やけどを負っている。意識を失って、ストーブに倒れ込んだのだ。なぜ意識を?ハビーブの説明。
「この子は3歳の時に、父親の死を見た。カンダハールで米軍の車列が通りかかった時、タリバンが仕掛けた路肩爆弾が爆発。運悪くその付近を通行していた父親が、身体から大量の血を流して亡くなった。その様子をこの子は目撃し、それ以来、精神を病んでしまった。そして時々意識不明になる。それでストーブに…」。
説明を聞きながら、カンダハールの通称「仕掛け爆弾通り」を思い出す。爆弾を仕掛けたタリバンも、固い装甲車で守られた米兵も、簡単には死なないが、その付近にいた普通の人々は死んでしまうし、その子どもは孤児になり精神にも障害を持つのだ。あらためてこの戦争の理不尽さを痛感する。

一通り病院を取材した後、ハビーブ医師と、今回の支援物資を相談する。明日、10時に再度訪問するので、ほしい薬のリストを作っておいてもらうことになった。緊急度の高さから、今回もやけど病室に、薬を集中することになるだろう。

病室を出て、駐車場までの雑談。
「あの病棟を見ろ。病棟の壁をキレイにピンクに塗り替えているだろ?なんでビルの外壁を何回も塗り直す?ワイロだよ。病棟の修繕などという理由で、建設会社が予算の半分を、そして厚生労働省の官僚が、半分の予算をせしめるのさ」。ああ、その予算があれば、やけどや白血病の子どもに薬が買えるし、未熟児の保育器にもなるのに。
日本は50億円もアフガンに援助しているが、その金はおそらく「ビル壁の塗り替え」に使われている。外務省はこの事実を調べて、カルザイ政権を厳しく指導すべきなのだ。いうまでもなくその50億円は私たちの税金である。無駄な工事とワイロに消えるのなら、支援しない方がマシだ。

トラックバック(0)

このブログ記事を参照しているブログ一覧: 子どもたちに重くのしかかる戦争犯罪

このブログ記事に対するトラックバックURL: http://www.nowiraq.com/mt/mt-tb.cgi/432

コメントする

このブログ記事について

このページは、nishitaniが2012年2月 7日 23:50に書いたブログ記事です。

ひとつ前のブログ記事は「孤児施設も汚職まみれ」です。

次のブログ記事は「子ども病院再訪&キャンプに毛布 」です。

最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。

Powered by Movable Type 4.01