マザリシャリフにて③

2月12日、午前中にマザリの下町でチャパンを買う。タジク人がよく着ている民族衣装で、カルザイ大統領も公式の場で着用するので見たことがある人が多いかもしれない。(カルザイはパシュトン人であるが、全アフガンの代表という意味を込めて、あえてタジクの衣装を着ている)その後、パコールをかぶると、もう立派なアフガン人だ。実際、この姿で下町を取材していると、いろんな人から現地語で話しかけられる。チンプンカンプンなので、英語でしゃべってくれ、というと初めて私が外国人と分かってくれる。
よし、これなら大丈夫だろう。実は、今日もカブールが大雪でフライトがキャンセル。マザリから数百㌔の道のりを、タクシーをチャーターして一気に走りきる。その際、私はハザラ人に見えるので、突っ切れると判断。
マザリの下町で最後の取材。寒そうにパンを売っている少年たち。「毎日、ここに立っているの?」「うん」「何時間くらい?」「朝9時から売り切れるまで」「寒いやろ?」「もちろん」「学校は?」「行ってない」「何で?」「行く余裕がない」。
取材している姿を見て、たちまち周囲は黒山の人だかりに。日本人に似たハザラ人の少年が、興味深そうにビデオカメラを見ているので、尋ねてみる。
「年は?」「12歳」「ここで何してるの?」「荷物を運んでる」。パン焼き場からここまでリヤカーでパンを運んでいるのだ。
「1日にいくらくらい稼ぐの?」「150アフガニーくらい(300円程度)」「学校は?」「行ってない」「行きたい?」「うん」。
やはり地方に来るとカブールより貧しいので、学校に行けない子どもが多い。
粉雪が舞う商店街で、「商売」する子どもたち。文字が読めないので、このまま成人しても、似たような仕事にしかつけないだろう。今後この国では、定時制の中学校などが必要になるだろう。
さて、タクシー乗り場で信頼できそうなドライバーを選び、マザリからカブールへ。道中、それほど厳しいチェックポイントはないだろう。問題は、マザリから200㌔ほど、カブールからも150㌔ほどのところに、3千m級の「サラン峠」を越えれるか、どうか、だ。
タクシーは飛ばす。できるだけ明るいうちにカブールに着きたい。うまく行けば、10時間程度のドライブだ。
サマンガン、プレホムリと主要都市を順調に通過。時折、タイヤチェーンを巻くためトラックが道をふさいでいて、スタックする。日本のような「チェーン巻きスペース」がないため、いちいちチェーンを巻き終わるまで後続車が待機せねばならない。
夜7時、ようやくサラン峠の山小屋まで到着。すでに標高1500mは行っているだろう。吹雪の中、私たちもチェーンを巻く。何もかも凍りつくマイナス20度の世界。
カブールまで、峠を越えてあと148㌔。バーミヤンへの分かれ道も過ぎていった。
ここで車がスタックしている。警官が何やら怒鳴っている。「吹雪のため、サラン峠はクローズ」。
あちゃー。昨日までは何とか通れていたと聞いていたが、さすがにこの気温、吹雪では、峠道は危険なのだ。
山小屋まで戻る。みんな震えながら、唯一のストーブに近づき、手をかざす。
こんな時でも、アフガン人は妙に明るくて、「仕方ないさ。飯でも喰おう」となる。小屋の中も氷点下の世界。薪をくべてストーブの温度を上げ、熱いチャイを飲み、パンをかじる。
峠はいつ開くのか?だれも分からない。明日の朝なら開くんじゃないか?まぁそんなくらい顔せず、ケバーブでも喰え。
夜10時、山小屋で雑魚寝。究極の低温の中、野宿に近い形で寝る。キャンプで子どもたちが寝ている姿を見て、寒いだろうな、と思っていたが、まさかこのような形で、同じような状況を来県するとは。深夜2時、あまりの寒さに目が覚める。風邪をこじらせてはいけない。しかし、あぁ…。残酷なことにストーブの薪が使い果たされ、残り火がちろちろと燃えているのみ。寒いはずだ。
震えながら眠る。朝5時半、みんなもぞもぞと起き出す。寒い中、お祈りを始める経験なイスラム教徒たちだ。
7時、辺りが明るくなり、補助の薪が運び込まれ、ちょっと一息。8時、9時、10時…。峠への道は閉ざされたまま。おいおい、今日中にカブールにたどり着かないと、日本で予定している仕事(講演会)に間に合わないではないか。
どうする、このままここで待つか、マザリまで戻って、今日の飛行機がキャンセルされないことを期待するか。
一か八か、マザリまで来た道を戻ろう。時刻は正午過ぎ。マザリからのフライトは午後5時。ギリギリ間に合うか?タクシーよ飛ばせ、マザリまで戻るのだ。

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このページは、nishitaniが2012年2月14日 14:04に書いたブログ記事です。

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