アトマ村から激戦地アナダンへ

銃撃戦で破壊された車 ブログ用.jpg 自由シリア軍が破壊したアサド軍の車 背後には新たな戦闘で煙が上がっている。

9月10日午前9時、いよいよアレッポ方面に向けて出発。その前にトルコから親戚の叔父が、アトマ村へ帰ってくるというので、トルコ〜シリア国境の「バーバル・ハワー(ハワーの門という意味のようだ)へ。昨日朝、通訳のジハードとトルコ側から取材した場所だ。
この「バーバル・ハワー」は、トルコ・シリア流通の要所というべきところで、普段なら大型トラックが一杯停車しているという。
バーブル・ハワーのゲートが破壊され、すすで黒くなっている。「Good by Syria」の看板はそのままだが、国旗が「自由シリア」の新しいものにさし変わっている。Duty Freeのビルは破壊されず残っている。パソポートコントロールや税関の入っていた建物の前に、所在無さげに座って雑談しているシリア人が数人。
2ヶ月前に自由シリア軍が、アサド政権からこの国境を奪い返している。国境ゲートにカラシニコフ銃を持った兵士たちがたむろしている。私のビデオカメラを見て、「フリーシリア!フリーシリア!」と叫ぶ。
その中に英語ペラペラのおじさんがいる。国境審査官として20数年間働いてきたので10カ国語はしゃべれるぜ、と胸を張る。
アサド政権時、陸路で国境を越えようとすると、かならず数時間は待たされ、ワイロ(50ドル程度)を要求されたものだ。「俺たちがフリーにしてやったぜ」とおじさん。あんたもワイロもらってたんと違うの!と突っ込みたいところだが、大きな銃を担いでいるので「ありがとう」と礼を言っておく。
察しの良い方なら、「じゃぁなぜ、この国境を越えないの?」と思うだろう。
今のシリアはジャーナリストが狙い撃ちされるので、シリア入りを試みる外国人は、トルコ側ではね返されるのだ。「不法入国」せずに、それこそ「本当に自由に」シリアへ入れる日はいつ来るのだろうか?
国境からアレッポをめざす。道路は結構きれいに整備されているのだが、町の入り口には必ず自由シリア軍の検問があって、そのたびにあいさつして通らねばならない。中にはモハンマドたちの知り合いがいて、「おー、そっちは大丈夫か?」など久々の会話に花が咲く。こっちはその度に待たざるを得ない。
帰路は夜だったので感心したのだが、全ての検問所は24時間態勢だった。いつ政権軍が町を奪い返しにくるか分からないので、村人たちが「自警団」として寝ずの番をしてくれているのだった。「大丈夫か」と互いに安否を確認するのも無理はない。そう「自由シリア軍」といっても、先日まで普通の農民やサラリーマンだ。ただシリアは徴兵制があるので、成人男性はほとんど全て銃の扱いを知ってはいるのだが。
そんなことを繰り返しながら、全速力で飛ばすこと約3時間。アナダンの町に到着。この町からアレッポまでわずか10キロ。
町はゴーストタウンになっていた。病院が戦車砲で破壊されている。受付の椅子が転がり、3階建ての建物は無惨にもぺしゃんこになっている。
「ヤツらは学校だろうと病院だろうとおかまいなしだ。この病院は先週戦車で破壊されたんだ」。同行の兵士が怒りをあらわにする。
兵士の言う通り、小学校の壁にはロケット弾の穴があき、グラウンドに薬莢が転がっている。商店街が破壊されている。シャッターが内側から外へ弧の描いてひしゃげている。家屋内部に戦車砲などが落下すると、内側からの爆風でシャッターが曲がってしまうのだ。
空爆された民家群へ。もうめちゃめちゃ。ハイヒールが転がっている。3時50分で止まっている壁時計。ガレキの中にはその日の新聞や子供用の自転車。
この空爆で25人が殺された。あのハイヒールは遺品かもしれない。
そんな撮影を続けていると、「タイヤーラ!(戦闘機)」と兵士が叫ぶ。上空を赤トンボのような戦闘機が旋回している。物陰に隠れて戦闘機の行方を見守る。
大通りに破壊された戦車と救急車。アサド軍の戦車をRPGロケット弾で破壊したのだ。シャビーハ(山本さんを殺害した民兵組織)もやっつけたよ。兵士の自慢。(とここまで書いて、飛行機の時間が迫ってきた。続きは明日)

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このページは、nishitaniが2012年9月13日 09:21に書いたブログ記事です。

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