一発のロケット弾が…

左手を失った女性 ブログ用.jpg


12月7日、早朝から土曜市が出ているので野菜や果物を見て回る。オリーブやザクロ、リンゴ、ミカンなど1㌔1リラ(200円程度)と激安。その後リハニーヤの商店街で、通訳のシハーブさんと毛布の交渉。一枚42リラ(約2600円)で、150枚を購入。その後、薬局で医薬品の購入。2千ドル分の輸血キット、点滴、注射器、抗生物質などを購入。治安状況を見て、明日、これらの支援物資をシリア側の避難民キャンプに持っていくことにする。
お昼からは、民間のマンションを改良した病院へ。毎日多数の怪我人がシリアから運び込まれてくるが、全ての難民がトルコ政府の運営する病院に入院できるのではない。保険もないし違法入国なので、このような民間病院が必要になる。半分違法な状態で運営しているので、ジャーナリストの取材はNG。したがって病院の外観も撮影できないし、病室に入っていっても隠れながらの取材となる。
マムード君(13歳)は3か月前、アレッポからトルコに逃げようと国境を歩いていた。家族11人と一緒に山越えをしている時だった。突然シリア軍の兵士が、難民の行列を狙撃して来た。兵士はトルコに逃げようとする人々に、対空砲を撃って来た。飛行機を撃ち落とす砲弾を、同じ国民に対して撃ち込むのが今のアサド軍だ。
爆弾の破片が腹から背中に抜けて、彼は重症を負った。トルコに逃げることはできたが、このベッドで寝たきりの生活。お腹にチューブをつけて、そこからおしっこが流れ出す。隣には介護の妹。ハンカチと100リラを手渡す。
女性の病室にはフォージャさん(55歳)がいた。ハマの自宅の庭でオリーブの世話をしている時だった。突然ロケット弾が飛び込んで来た。私はこのハウワーンというロケット弾攻撃をアレッポで間近に経験したが、ビルに当たれば震度3くらい揺れるし、破片が周囲に飛び散って、多くの怪我人が出る。そのハウワーンの破片が左手、腰に突き刺さった。ハマの地下病院で、麻酔なしで左手を切断した。腰には鉄製のギプス。以後寝たきりの生活が9か月続いている。
「9か月ずっと寝たきりで、疲れたわ。毎日がつらくて…」。フォージャさんの目にうっすらと涙が浮かぶ。シリアではロケット弾が1日に何百発と飛び交っている。兵士にすれば、命令を受け、興奮し、ただ一気に撃ち込んでいるロケット弾だろうが、その一発一発が取り返しのつかない悲劇を生む。昨日、今日、明日…。悲劇は拡大再生産されている。

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このページは、nishitaniが2013年12月 8日 01:40に書いたブログ記事です。

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