シリア潜入2

シリア キャンプ 子どもアップ ブログ用.jpg

難民キャンプの子どもたち。本日(12月10日)から雪が降っている。

シリア側の難民キャンプ、アカラバートはオリーブ畑の中に急ごしらえで作ったテント群だった。アレッポ、ホムス、ハマ、イドリブ…。シリア中北部からトルコをめざして逃げて来た人たちが、トルコ国境を越えられずにここでテントを張る。青いビニールシートが汚れていない。つまりこの1〜2週間で作ったもの。毛布を配る。今日は太陽が出て日中はそれほどでもないが、夜間は冷え込む。まして明日から寒波が来て、雪になるという。着の身着のまま逃げて来ているので、裸足の子どもが多い。この冬を越せずに、かなりの人々が亡くなってしまうのではないか。
毛布を配ってから、薬を配っていく。キャンプの手前の受付テントで、トルコから同行の医師が、診察しながら風邪薬を配っていく。赤ちゃんを抱える母親の列。ホムスの家にとどまるも地獄、ここに逃げて来ても地獄。ロケット弾に当たって一瞬で死ぬか、ここで凍えてじわじわ殺されるか…。
「西谷さん、早く早く。もうすぐ戦闘が始まっちゃうよ」。通訳のシハーブさんが、取材を切り上げろとアドバイス。イラクからやって来たダイシュというアルカイダ系武装集団が、この国境地帯を奪いにやって来ている。日が暮れたらこの辺りは銃弾飛び交う激戦地になる。このダイシュという集団は、イラン&イラクがスポンサーとなってシリアに送りつけてきたもの。シリアを失いたくないイランは、イラン革命防衛隊の猛者たち、レバノンからヒズブッラーをアサド軍に送り込んでいる。そしてシーア派が権力を握ったイラクかモクタダサダルの民兵たちもアサド軍に入り込んでいる。そんなイラン&イラクが、搦め手としてアルカイダ系のイスラム原理主義者たちをシリア北部に注入し、自由シリア軍を双方から責め立てている。
今年3月にこの国境に来た時は、自由シリア軍のコントロールが利いていて、この地域を拠点にアレッポ、イドリブまで行けたのだが、今は無理。ダイシュの若手兵士は、「死ねば天国に行ける」と洗脳された集団なので、自爆テロも辞さない最強の兵士たちである。
キャンプの取材を切り上げ、急いで国境へと戻る。トルコ軍の検問と入国審査を無事通過。実はこの国境、深夜に閉じられて、現在も開いていない。ダイシュと自由シリア軍の戦闘が始まったので、危険性を感じたトルコ政府が国境を閉じてしまったのだ。(12月10日現在)危なかった。下手したら私もシリア側に取り残されるところだった。
トルコに帰り、ホテルでホムスから逃げて来た人とチャイを飲む。ホムスは周囲をアサド軍に囲まれていて、食料が届かず、野良猫野良犬を食べているとのこと。もうすぐ雪が降るので、またたくさんの人が亡くなるだろう。
本日深夜、ABCラジオ「道上洋三のおはようパーソナリティー」に電話出演させていただいた。道上さんが「シリアの人口の半分が難民になっているのでしょう?」と心配そうに聞いてくれた。「そうです。半分の1千万人が家を失いました。残り半分は、無事ではなくて、家から逃げられない人々も含まれています」。と答えた。シリアの状況を一言でうまく伝えるのは難しい。ダイシュの話になれば、それだけで5分、10分必要だし、日本のみなさんに理解してもらえるかどうか…。そもそもなぜこんなに悲惨な内戦になったのかを説明しようとすると、1時間は必要だ。しかし「分かりやすく状況を説明する」ことは絶対に必要だ。日本ではあまりシリアやアフガンのことは報道されなくなった。もう少しここで踏ん張って取材を続けるつもりだ。


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このページは、nishitaniが2013年12月11日 15:57に書いたブログ記事です。

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