ウクライナの独立広場 その2

タワー ブログ用 .jpg 写真はキエフの独立広場、中央にあるタワー。ヒットラーに似せたプーチンがいる。


キエフの独立広場には数多くのテントが並び、「革命防衛隊」が泊まり込んでいるのであるが、面白いのはそのテントに「OO市からやってきた」と書いてあること。いや、ウクライナだけでなく「ベラルーシから」「グルジアから」など「外国人部隊」もここに泊まり込んでいる。
興味深いのは、「OO市から」のテント名の中に、ハリコフ、ポルダブァなどウクライナ東部、つまり「ロシア人多数派地域」からのものがある。報道ではウクライナを西部と東部に分けて、あたかも民衆が2分されているようなイメージの地図が描かれていたりするが、ことはそんなに単純ではない。いや、むしろ「ウクライナ人、ロシア人」の線引きそのものが、誤解を与えるのかもしれない。例えば通訳のヘレナは、母がウクライナで父はロシア。生まれたのが旧ソ連で、2つの言葉を自由に操る。というか、2つの言語に大きな違いはない。彼女は、自分はウクライナ人だと主張していて、今回の革命を支持しているがそれはヤヌコビッチ前大統領の不正腐敗、独裁に怒っているからであって、「ウクライナはウクライナ人だけのもの」という民族浄化のような狭い民族主義者ではない。旧ユーゴでも「俺たちはセルビアでもクロアチアでもない、ユーゴ人だ」という人が多かった。ことさら民族対立を煽っているのは、もしかしたらEU系、ロシア系のメディアだけなのかもしれない。
独立広場で新政府の演説が始まった。曰く「プーチンとヤヌコビッチの『癒着』によって、ウクライナは相場より高い値段で、なおかつ必要以上の天然ガスを買わされてきた。本日、ウクライナ国営ガス企業のトップを『汚職の罪』で逮捕した」。新政権は「ヤヌコビッチの腐敗」を追求することで、クリーンさをアピールしている。5月25日の大統領選挙、キエフ議会選挙を意識している。
この「天然ガス問題」は、ヨーロッパ、米国、日本をも巻き込んでいく大問題になる。
ウクライナ新政府によると、ウクライナは人口からしても、自国のガス資源からしても、ロシアからそんなにたくさんのガスを買う必要がなかった。しかしプーチン、ロシアの大企業であるガスプロム、ヤヌコビッチ、ウクライナ国営ガス企業などが共謀して、高値、余剰のガス販売でロシアが、キックバックでヤヌコビッチが蓄財してきたというのだ。今回のウクライナ政変はプーチンにとっては痛手。4月1日からウクライナへ販売するガスの値段をさらに引き上げて、他のヨーロッパ諸国よりも最高値に吊り上げる、とプーチンが発表。キエフ市民の怒りを買うことは必至だ。そもそもクリミア半島のセバストポリをロシア軍港としてウクライナから借りる代わりに、ガスの値段を下げてきたプーチンからすれば、クリミア半島を「併合」したわけだから、セバストポリの賃貸料は支払わなくてよい、賃貸料と引き換えにディスカウントしてきたガスの値段は上げさせてもらう、ということになる。
これをウクライナ側から見れば、セバストポリをはじめクリミア半島はウクライナ領なのに、勝手に併合して、さらにガスの値段を引き上げるとは、プーチンはヒットラーと同じだ、ということになる。実際キエフの街にはプーチンの顔にヒットラーを上書きしたポスターまで張られている。
とまぁ、いろいろとややこしい事態になっているのだが、そんな独立広場で10数名の若者が、銃と旗を掲げて行進を始めた。最近報道されている「極右グループ」だ。彼らが威勢良く行進を始めたが、周囲の人は冷めた目でながめている。この状況はリビアやバーレーンとは全然違う。リビアのベンガジの革命広場、バーレーンの真珠広場では、このような行進が始まると周囲の民衆は熱狂してお祭り騒ぎになったものだが、キエフの群衆は全然反応しない。極右グループも大衆の支持を取り付けていないのだ。
独立広場での取材はひとまずここまで。明日は「チェルノブイリ博物館」に行く。


トラックバック(0)

このブログ記事を参照しているブログ一覧: ウクライナの独立広場 その2

このブログ記事に対するトラックバックURL: http://www.nowiraq.com/mt/mt-tb.cgi/523

コメントする

このブログ記事について

このページは、nishitaniが2014年3月28日 16:07に書いたブログ記事です。

ひとつ前のブログ記事は「ウクライナの独立広場」です。

次のブログ記事は「ウクライナのチェルノブイリ博物館」です。

最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。

Powered by Movable Type 4.01