nishitani: 2009年1月アーカイブ

赤十字職員が毛布にくるまれる buroguyou.jpg

死体が転がっている。その後ろに赤十字の車が見える。国際赤十字の職員を示す黄色いダウンジャケットが、肩までめくり上げられ、右わき腹から血が滲み出している。
同じ黄色のジャケットを着た赤十字の職員数人が、叫びながら介抱しようとするが、すでに息絶えていることを確認して、静かに彼の両腕をおなかに乗せる。

セーターにこびりついた血が大写しになり、やがて毛布が運び込まれる。職員数人で死体が担ぎ上げられ、毛布にくるまれる。イスラムでは長期間死体をさらしてはいけない。
死体の後ろに大型バスとタンクローリー。コンクリートの壁にはパレスティナの国旗が描かれている。

ここはガザからイスラエルへ抜けるエレツ検問所にほど近い空き地。赤十字職員が銃撃されたのは1月8日午後。犯人はイスラエルのスナイパーだ。1月8日、カナダ国籍を持つパレスティナ市民(二重国籍者)を、カナダへ脱出させるべく、車列が組まれた。市民たちはエレツ検問所からイスラエルに抜け、カナダに非難する途中だった。
車列を先導していたのが、人道支援活動を続ける赤十字の職員たちだった。

イスラエル兵は、その先導する赤十字の車を狙撃したのだ。

カナダへ帰る大型バスの前で、サングラスをしたパレスティナ人が「バスに乗っている女性や子どもの目の前で、人が殺された。俺たちの町では、これが日常だ。毎日殺され続けている。何の支援もない」と冷静に語る。
その後カメラはバスに入っていき、出発を待つ3歳ぐらいの子どもの顔が大写しになって、映像は終了する。

この映像は1月14日に、ヨルダンの首都アンマンから送られてきたもの。私の通訳ハーミドがパレスティナ人のモタッズを一時受け入れていた。モタッズはパレスティナ人であるが、カナダ国籍も持っていたため、ガザを逃れることができたのだ。事件はモタッズがガザから脱出する、その日に起こったのだ。

昨年末から始まったイスラエルの一方的な攻撃によって、ガザの死者は1300人、負傷者は5100人を超えた(1月18日現在)。何の抵抗もしていない一般市民を次々に虐殺する、これをホロコースト、ジェノサイドと呼ぶが、イスラエルの行っていることは、まさにパレスティナ人に対するホロコーストだ。ハーミドがアンマンから訴える。
「もしイスラエルがハマスだけをターゲットにしているのなら、どうして無実の子どもたちや女性が狙い撃ちされるんだ?これがどうして(ロケット弾による)『イスラエルの正当防衛』なんだい?イスラエルは400人以上の子どもたち、それも12歳以下の子どもたちだよ!それと120人以上の女性を殺し続けているんだ。人間はウソをつけるけれど、数字はウソをつかないんだ。これはまさにホロコーストだよ」。

人間、つまりイスラエル政府はウソを突き通すつもりだろうが、殺されゆく死体の映像、その数はごまかせないのだ。
ハーミドのEメールから、怒りが湯気になって湧き上がってきそうだ。私たちはただテレビを見て「かわいそう」「怖いわね」としゃべっているだけでよいのだろうか?ガザ市民はもう3年間も壁に包囲され、監獄と化した中で生活してきた。しかし「ガザを救え!」と行動を起こした人は少数だった。つまり国際社会の無関心が、パレスティナ人を殺し続けてきたのだ。
ハーミドは言う「私はガザの人々を守るために行動を起こす。やれることをやるのだ。あなた方日本人は何ができる?」。

What would you do? (君は何をやるのか?)パソコンに残された文字が私の心に突き刺さる。この問いかけに応えて、ガザへの緊急支援を行いたい。具体的には集まった募金をハーミドに送り、彼がアンマンからエジプト経由でガザまで医薬品を配達する。(ただし国境が閉じているので、国境で人道支援舞台に手渡す可能性も)
募金に賛同される方は、郵便局から振り込んでください。緊急募金としてアンマンに送金します。
募金のあて先: 郵便局にて 00970-5-222501 イラクの子どもを救う会
※ 必ず通信欄に「ガザ基金」と書いてください。記入がないと、イラクへの募金になってしまいます。


以下、ハーミドからのメール原文です。
Dear Nishi,
regarding our phone call today, here is the answers of your questions:
1- The name of the dead man i will give it to you as soon as i contact Mr. Motaz
2- The man was SHOT dead near Eriz Crossing (Between Gaza and Israel) Thursday after noon while the Red Cross were escorting Canadian citizens out from Gaza.
3- The Dead man is a member of the Red Cross
4- The Dead Man was shot by a Israeli sniper fire while he was driving a Red Cross car
5- In the same car the dead man was driving, a Red Cross member was also shot and injured
6- There is no logic reason for Israel to shoot and target innocent and unarmed civilians, rather than shooting and targeting humanitarian organizations such as the Red Cross.
7- This is a calling to all people, not only Japanese.. but to the people of the world. Media has played a big role in what is happening in Gaza, i'm not asking NOT to watch the American media but also to watch the other side of the story as well. Anyone who sees the massacres in Gaza will ask him self one QUESTION (If Israel is targeting Hamas only? why did they kill more than 400 child "ALL UNDER 12 YEARS OLD" and more than 120 woman till now??????) People can lie, but numbers do not lie. Israel is considered one of the most powerful military forces in the world and the strongest intelligence system in the world.. HOW CAN SUCH STATE target innocent children and women in the name of defending Israel????? what is happening in Gaza is truly a genocide and holocaust to the Palestinian people, We heard about such things from our fathers and grand fathers who lived through the 2nd World War. And our generation these days is witnessing one with no actions. I'm asking in the name of HUMANITY to help these children, to save these children, and to imagine you are the one living in Gaza under this kind of killing machine. I have 8 years old baby sister who i love the most, and i cannot imagine my life without her. every time i see the news my heart breaks for the images of dead children, children shoot by Israeli guns and airstrikes. and decided to help these children in anyway i can.
WHAT WOULD YOU DO?

These are my words, i will forward this email to Mr. Motaz and he will answer you with his words.. his words is much powerful as he lived in Gaza during this holocaus. please wait Mr. Motaz's answers as well.

Yours
Hamed


現在、アンマン在住の通訳ハーミドと連絡を取っていて、ガザの状況を伝えてもらった。以下、要約と原文を紹介する。

「西谷さん ガザは現在閉ざされている。誰も入れないし、出ることもできない。しかし私にはジャーナリストの友人が現地にいるので、君がガザに入るとこには、彼が君を大きく助けてくれるだろう。私はけれと連絡を取り合っていて、君がいつ、どのようにガザに入るかを相談するつもりだ。

うまくいけばよいと思うが、ガザはイラクよりもずっと危険な状態だ。イスラエル軍は女性、子ども、老人すべての人々を銃撃し、殺している。彼らはモスク、病院、政府関係のビルそしてパレスチナ人の民家でさえも攻撃する。
ニュースを見れば、パレスチナ人たち、子どもや女性の死者数がわかる。これを見ればイスラエル軍は悪い人物を征伐するのではなくて、ホロコーストのイスラエル版だということが分かる。

私と友人は、今、ガザの人々への募金を募っている。募金はとても重要だ。ガザを救うためにできることは何でもやるつもりだ。
現在に至るも、ガザへの道は閉ざされたままだ。道が開くとすれば、それはエジプト、つまりラファの国境からになるだろう。しかしそれはエジプト政府によって閉ざされている。
医薬品、食料、衣服、毛布などすべての物資が不足しているので、それらを送る必要がある。でないと、人々はこの厳しい時間を潜り抜けることができない。

イスラエルは戦争犯罪に手を染めている。西谷さん、どうか理解してほしい。

6th Jan 2009
アンマンにて   
ハーミド

以下は原文です

dear nishi

Gaza is closed right now, no one can go in and no one can go out.. but i have a friend there a journalist who can help you big big time in Gaza if you can go in.. i ill be in touch with him to discuss how and when you can go there. i hope this will work, but Gaza is much much more dangerous than Iraq, as Israeli people shoot and kill everybody (women, children, elder) they attack mosques, hospitals, government buildings and even houses of Palestinians. if you watch the news you will know the death toll of Palestinians among children and women and looks like that Israel is not backing down which is not good. this is what we call a holocaust by the Israeli part. me and my friends are gathering donations for Gaza people. this is a big issue for me and i am doing anything to help Gaza people. till now, there is no way to go to gaza, but if thee is a way it will be from Egypt to Gaza through Rafah border but that too is closed by Egypt. we need to send medicines, food, cloths, blankets anything to help them to get through this hard time. Israel is committing crime wars there. i hope you understand nishi.

04、05、06年と都合3回イスラエルを訪問したことがある。
ヨルダンのアンマンから車で約3時間、イスラエル~ヨルダン国境に出る。そこでタクシーを降りて、バスに乗り換え、イスラエルの国境へ。

国境には「私服警官」がいて、いきなり「今回の旅の目的は?」「なぜそんなに大きなビデオカメラを持っている?」などと尋問が始まる。「お前はジャーナリストか?」「今回は単なる旅行できただけだ」など、押し問答を続けるが、やがて別室に連れて行かれ、かばんの中身はもちろん、「シャツを脱げ」「靴下もだ」。とうとうズボンまで脱がされパンツ一丁にさせられ「身体検査」を受ける。身体検査が終われば、延々とロビーで待機。

嫌がらせなのだ。数時間待たされた挙句、ようやく入国許可がでる。あたりはどっぷりと暮れていて、一人寂しく国境にタクシーが現れるのを待つ…。私の場合、イスラエルへの旅は3回ともこんな感じだった。

私のパスポートにはイラクやレバノンのビザが刻まれていて、デジカメにはバグダッドの写真が残っていたものだから(もちろんデジカメのデータ、パソコンのデータもチェックされる)このような仕打ちを受けてしまうのだ。

「異常な国イスラエル」。

ガザへのボーダーまで行ったことがある。時間がなくてガザへの入国許可証を取れなかったので、ガザを包囲するコンクリートの壁を見てきた。テルアビブから車で1時間も走れば、ガザ。タクシーの運転手が「俺たちの国は小さいんだ。本当はもっと領土を手に入れるべきなんだ」と語る。
そう、イスラエル人の多くは、ガザや西岸を手放すことは許せないことで、むしろもっと自国を拡張したいと考えている人が多いようだった。

あと少しで入れなかったガザ。そのガザで大虐殺が進行中だ。そこでアンマン在住の通訳ハーミドを通して「緊急ガザ支援」を行おうと思う。
ハーミドによれば、ガザへはイスラエル側から入ることはできなくて、エジプト側の国境が開き次第、医薬品を持って支援に入りたいとのことだ。
ハーミドからのメールを、次のブログで紹介したい。

みなさん、あけましておめでとうございます。といっても、ガザでは無実の人々が虐殺されており、全然めでたくない事態が進行中です。以下は新年の雑感です。

ブッシュ大統領に靴が投げつけられたその日、イラクのハッサンから電話がかかってきた。
「おい、ニュース見たか?俺たちの町、ヒッラではみんな大喜びしているよ。日本はどうだい?」。実際、あの靴は「バイバイブッシュ」という商品として30数万点も販売されるというから、イラク人だけでなく、世界中の人々が、つもり積もった鬱積を少しでも晴らすことができたのだろう。

あと少しというところで靴はブッシュの顔をかすめていったのだが(惜しい!)、もしブッシュに靴が当たったとしても、それだけでは何の解決にもならない。

イラク・アフガン、ガザをはじめとして、今も無実の人々は戦争で殺されているし、アメリカ発の金融危機によって、まじめに働いてきた労働者が首を切られ続けている。

アメリカの軍事費は50兆円を越え、その浪費を埋めるために米国債が発行される。中国や日本が、その米国債を買い支え、貿易黒字分をアメリカに還流させる。アメリカは「物を作らず消費する国」になってしまっているので、米国債だけでなく、「新たな投資先」を無理にでも創り出し、外国から資金を流入させなければならない。その一つの「金融商品」が、サブプライムローンとそれを利用したデリバティブだった。大富豪たちに巨額の富を振る舞った後、サブプライムは破綻し、金融機関が破綻する。

中小企業や個人の破産には冷たく「自己責任」を言い放つ政府が、金融機関だけでなく、自動車会社まで「救出」する。

救出するために、FRBはドルを輪転機で刷り続ける。やがてドルは値崩れを起こし、円高=ドル安時代が到来する。日本が持っている米国債は早晩「紙クズ」となるだろう。

どうしたらいいのだろうか?
結論から言えばアメリカの進める「戦争経済」「金融バクチ経済」から脱却し、「平和経済」「ものづくり経済」に転換すること以外にないように思える。グローバリズムはたとえて言えば「カールルイスと小学生が100メートル競争をするようなもの」で、欧米日系の大資本が勝利し、自国の農工業が衰退する。トヨタが競争に勝ち続けるために、労働者まで使い捨てにするのが象徴的である。戦争・競争から、平和・共存へ。今年はうし年。牛の歩みはゆったりと遅いが、確実に前へと進む。微力ではあるが無力ではない私たち。09年は「ゆるやかな連帯」の年にしなければならない。