nishitani: 2018年6月アーカイブ

京都新聞の連載コラムで、南スーダン日報隠蔽問題について書いた。イラクの日報もそうだが、「全部公開すれば政権が吹っ飛ぶ」から隠したのだと思っている。
「戦闘ではなく衝突」(南スーダン)「自衛隊の活動する場所が非戦闘地域」(イラク)という、ふざけた答弁で危険地帯に派兵していた政府の責任は重大なのだ。
以下、コラムの内容です。

アフリカの南スーダンから自衛隊が撤退して1年が経過した。2016年7月に内戦が勃発した首都ジュバ。現地は今どうなっているのか、自衛隊はどんな仕事をしていたのか、そんなことが知りたくて今月4日にジュバに入った。
ケニア・ナイロビ発の飛行機がジュバ国際空港に着陸する。空港と言っても滑走路の横に仮設のテントが並んでいるだけ。そこが入国審査と税関だ。乗客は国連職員と私だけ。
空港を出て通訳ダニエルの車に乗り込み、トルコビルを目指す。「あれだ、あの高い建物」。ダニエルが指差す方向に9階建て、建設途中のビルがそびえている。隠蔽されていた南スーダンの日報、その16年7月11日分によると「ジュバ市内・衝突事案について」という表題の下に「13時15分、宿営地南方距離200、トルコビルに砲弾落下」とある。当日の様子を知るためにはあのビルに潜入し、現場を確認しなければならない。
赤い鉄門を開けて、ビルの敷地内に入る。政府軍の兵士が2人、コンクリート打ちっ放しの玄関に寝そべっている。ダニエルが兵士と交渉するも「ビルに入るのは絶対にダメだ」。私には確信があった。「こいつらは金で落ちる」。100ドル紙幣を右手に忍ばせて兵士に近づく。「南スーダンと日本は友人同士じゃないか。まずは握手だ」。密かに100ドルを手渡すと、兵士の態度が変化する。「そうだな、10分、いや5分だけだ。絶対に俺は撮影するな」。予感は的中。南スーダンでは兵士の給料は出ないか、出ても遅配だ。この国は上から下までワイロで動いている。
ビルの階段を上がっていく。5階の渡り廊下、窓からそっと下界を見下ろす。「ジャパニーズ・コンパウンド(自衛隊の宿営地)」ダニエルがつぶやく。まさにビルの真下が自衛隊の基地だった。16年7月8日、反政府軍がこのビルに立てこもった。ビルの真下に自衛隊の基地、そして基地の向こう側が空港だ。空港には政府軍、こちらのビルに反政府軍、その間に自衛隊の基地。ここで激しい戦闘が起きた。つまり隊員たちの頭上を無数の砲弾、銃弾が飛び交っていたことになる。「戦闘ではなく衝突」「ジュバは安全」。安倍首相や稲田防衛大臣(当時)の国会答弁は事実を無視した虚偽答弁だ。首相答弁との整合性が保てないので当初、陸上自衛隊は日報を隠さざるをえなかった。森友問題で財務省が公文書を改ざんしたように。
黒塗りが目立つ同じ日の日報には「着弾」「負傷」という文字が見える。帰還後PTSDやうつの症状を訴える隊員が多いという。そして2名が自殺、1名が傷病死と発表されている。傷病死した隊員は、あの日に「負傷」した隊員ではないだろうか?
一昨年10月12日、安倍首相は「(ジュバは)永田町よりは危険だ」と答弁。安倍首相は自衛隊の最高指揮官である。こんなふざけた答弁が許されていいのか。首相は部下である自衛官の命をなんだと思っているのだろうか。今からでも遅くはない、国会でしっかりと検証してほしい。

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