砂漠の死体

掲載日:2005年10月18日
動画「砂漠の死体」
ミイラ化した米傭兵死体を発見している動画です。多少グロテスクな動画ですのでお体が弱い方はご遠慮ください。

見渡す限りの砂漠が広がる。スコップを手にしたゲリラたちが、その砂漠を掘り返していく。薬が見つかった。ゼンソク発作用の経口吸入剤と英語で書かれている。さらに掘り返す。黒いビニールスーツ、中からは・・・

ミイラ化した死体だ。ざくざくと死体が出てくる。いつ頃殺され、ここに捨てられたのであろうか。肋骨にはまだわずかながら肉がへばりついている…。これはアンマンで手に入れたCDに入っていた映像だ。ファルージャのゲリラグループが撮影したものと思われる。砂漠から出てきた死体は米兵のようだ。「米軍の報復があるので、(掘り返している)私たちの顔が写らないが、ご容赦願いたい」とアラビア語のアナウンス。一体これは何なのだ?

映像の最後に字幕スーパーが流れる。曰く「我々はラマーディー(西部イラク)郊外の砂漠で、米兵の死体を発見した。米軍は死者の統計(ボディカウント)を減らしたいので、ヘリコプターから死体を砂漠に投げ捨てたのだ。一体、仲間をこのように扱う軍隊が、世界にかつてあっただろうか。これは(アブグレイブ刑務所に続く)別のスキャンダルだ。これら多くの死体は一旦イスラム兵士の墓に埋葬する。遺体の家族たちにアドバイスする。米軍に捜索願を出しても無駄だ。国際赤十字など別の機関に捜索を依頼すべきだ。もしあなたたち家族がこの遺体を引き取りにきたら、私たちは丁重にお返しする」。

ハッサンにこの映像を見せ、感想を聞く。「米軍が兵士の死体を砂漠に捨てている、という噂はイラクでよく聞くよ。しかし実際の映像を見たのは初めてだ。アルカイダの捏造ではないかって?おそらくこの映像は真実だと思うね。ナレーションのアラビア語がイラク訛りだよ。アルカイダはサウジアラビアやエジプトから来ている外国人なので、言葉で分かる。ラマーディーのレジスタンスが撮影したものだと思う」。  ハッサンとこのような話をしている途中に臨時ニュースが飛び込んできた。なんとハッサンの故郷、バビロン州のヒッラで、自爆テロにより125人を越える犠牲者が出たというのだ。国際電話で妻や両親、友人たちの安否を確認するハッサン。このような悲劇はいつまで続くのだろうか…。

さて、私のもう一人の通訳であるハリル(52歳)と電話がつながった。彼は先日イラクからアンマンに帰ってきたばかり。日本からの援助で白血病の薬を購入し、バグダッド子ども病院を訪問した。去年までは、私たちの援助はすんなりと病院の現場へ届けることができた。しかし暫定政府ができてから、このような援助は、いちいち政府の許可を取らねばならなくなった。ハリルは政府の許可が下りるまで3日間待たされた。白血病の薬は低温で保存しなければならず、電気事情の悪いバグダッドでの保存は難しかった、という。なぜ当のイラク政府が人道支援を妨害するような行為を?との質問に、ハリルは「アメリカの圧力があるのではないか。劣化ウラン弾の被害を隠したいのではないか」と答えた。

昨年11月のファルージャ総攻撃で家を失った難民たちにも、今回、支援物資を送った。現在、バグダッドの周囲に、たくさんの難民たちがテント生活をしている。私はハリルに「薬や粉ミルクなどの援助物資を、難民キャンプに届けている様子を写真撮影せよ」と頼んでいた。「難民キャンプには入れなかった。キャンプの周囲は米兵が張り付いており、全てのカメラとジャーナリストは中へ入れない。たまたま知人の知人であるムジャヒディンがいたので、彼に援助物資を託し、難民たちに届けてもらった。米軍はファルージャ総攻撃の様子を、西側には決して知らせようとしない。厳しい報道管制が敷かれている」。ハリルはこのように回答した。