2020年6月アーカイブ

新大阪駅の土産物店で「吉村知事グッズ」が陳列されていると聞いて、ビックリするやら、呆れるやら、悲しいやら...。この状況に至ったのは関西マスコミの責任が大きい。以下その構造について「路上のラジオ」ファンクラブニュースに記事を書いた。

なぜ「吉村人気」が高まるのか?吉本と電通を使ったマスコミ宣伝に騙されるな

みなさんは「クールジャパン機構」という名前を聞いたことがありますか?英語でクールは「カッコイイ」。日本の文化、伝統芸能、観光地や名産品などを外国に宣伝してインバウンド、つまり観光客を増やそうという名目で作られた官民組織です。この組織はJT(日本たばこ産業)やNTTなど公的機関を民営化してその株式を政府が運用して得た利益が投入されています。なので最大株主は麻生太郎財務大臣です。

問題はここから。我々の税金を原資にした組織が、吉本興業に多額の出資をしているのです。

まず、大阪城公園の木々を伐採して、次々と3つの劇場が建てられました。これはMBS、ABC、関テレ、読売放送、電通、吉本などの子会社「クールジャパンパーク大阪」が12億円の融資を受けて建てたもの。で、やっていることは「吉本お笑い劇場」。インバウンド観光客の増加とは関係ありません。

次に吉本と電通がYDクリエイションという子会社を作り、そこに50億円が出資されています。これは海外で映像コンテンツを作る人たちに出資しようというもの。アニメや映画などを外国で作る人や団体に出資するのであれば、直接「クールジャパン機構」がやればいい。なんで吉本と電通を介するのか?これは吉本にとっては、公金を使って「負けても損しない投資」になりますね。そして教育コンテンツを配信する「ラフ&ピースマザー、パワードバイNTT」。吉本と NTTが沖縄に設立。この新会社に100億円が出資されています。何をするのかというとスマホで勉強ができるソフトを作る。例えばセミやトンボにスマホを近づけると、画面に名前や特徴が出てくるというもの。なぜこれが必要なのか、なぜ沖縄に作ったのか、なぜこの会社に公金が融資されるのか。

その答えは安倍首相と吉本の異常な関係。2019年4月、なんと安倍首相が吉本新喜劇に登場。お返しに6月、吉本の芸人が首相官邸を訪問。こうしたことはあっという間にテレビで報道され、SNSなどネットで拡散し、結局は安倍首相の人気が上がる。吉本の芸人さんたちは「安倍政権の広告塔」になっています。

吉本の大崎会長は、基地跡地利用懇談会のメンバー。世界一危険な普天間基地が移転されると、そこにカジノを含むIR施設を作ろうという目論見があったようです。IRの収益の70%以上はカジノですが、そこには会議場、ホテル、劇場が建てられます。その運営を吉本に任せようということでしょう。

吉本の芸人さんの中には、ダウンタウンの松本人志さんのように安倍首相と会食する人や、たむらけんじさんのように「都構想に反対する人は気色悪い」と維新べったりの人が目立ちます。

吉本興業と大阪市は「包括連携協定」を結びました。「24区住みたい芸人」は、吉本の芸人を北区や福島区、住吉区などに住ませて、街ネタをツイッターなどで発信する取り組みです。(M1優勝のミルクボーイも住みたい芸人として駆り出されている)。露骨なのが選挙協力。堺市長選挙で未知やすえさんが堺市に入り、維新の候補者である永藤英機氏の応援に立ち、「藤永さんをよろしく」と連呼。候補者とのつながりで自主的に応援するなら名前は間違えません。会社命令でやらされているのです。

なぜ吉本はこんなに維新の会に肩入れするのか?

それはズバリ、カジノと万博。吉本にとっても電通にとっても、オリンピックと万博は金のなる木。そして夢洲にカジノが来れば、半永久的に劇場の売上収入が保証されます。CMに芸人さんも大挙して出場するでしょう。

さらに問題なのは憲法改悪。安倍首相がこのまま暴走し、改憲発議を行えば、60日から180日以内に国民投票です。官邸側は人気芸人を使って改憲キャンペーン。吉本側は自民党の金(原資は政党助成金という税金)で作ったCMで大儲け。もちろん、今秋実施される大阪都構想の是非を問う住民投票にも芸人たちが駆り出されていき、テレビでは「いっぺんやってみたらええねん」「大阪を元気にするのは都構想や」などとヨイショ発言を繰り返すでしょう。

つまり、安倍官邸、維新の会、吉本興業、電通は憲法改悪、カジノ、都構想でつながっているのです。「今だけ、金だけ、自分だけ」の利権集団に騙されないようにしましょう。

この記事を書いたのが今年1月。その後コロナで吉村知事人気が急上昇。保健所や病院、公衆衛生研究所をリストラしてきたのは維新なのに。もう少しまともな報道番組がないと、有権者はずっと騙されるのだ。オリンピック、万博でメディアも儲かる。だからその推進者が美化される。ここに気がつかないとずっと騙され続ける。

黒人死亡割合.jpg先月2

先月25日、米国のミネアポリスで黒人男性のジョージ・フロイドさん(享年46)が警官に首を押さえつけられて窒息死した。米国では毎年1千人以上が警官に射殺されていて黒人は白人の2倍、撃たれている。そして今回の事件のように、「拘束時に警官によって容疑者が死亡」する事例は、人口100万人あたり白人が0,9人に対して、黒人は3,66人。(グラフ)フロイドさんはコロナ禍で失業していて、ニセ20ドル紙幣を使ったという容疑で逮捕、そして殺された。「黒人の命は20ドルなのか!」。弟さんが議会で証言、その怒りは「BLACK LIVES MATTER」(黒人の命も大切)というスローガンになって全米から世界へと広がり日本でも大きなデモが行なわれた。

事件のあったミネソタ州は、実は米国の中ではリベラルであって、民主党が強い。前回の大統領選挙もヒラリークリントンがトランプを下している。さらに言えば、元難民でソマリア出身の女性議員イルハン・オマルが当選したのもこのミネソタ州である。つまり黒人差別が根強いといわれる南部の州はもちろん、比較的リベラルな北部の州でもこのような事件が起きてしまうのである。

「黒人青年が母から言われた16のやってはいけないこと」という動画がネット上に上がっている。南部ヒューストン在住で18歳のキャメロン・ウェルチさんが投稿したものでその内容は①手をポケットに入れてはいけない②パーカーのフードをかぶってはいけない③シャツを着ないまま外に出てはいけない④一緒にいる相手がどんな人か確認する。たとえ路上で会った人でも⑤遅い時間まで外で出歩かない⑥買わないものを触らない⑦たとえガム一つでも何かを買ったらレシートかレジ袋なしで店を出てはいけない⑧誰かと言い争いをしているように見せてはいけない⑨身分証明書なしに外に出てはいけない⑩タンクトップを着て運転してはいけない11ドゥーラグ(頭に巻くスカーフ)をつけたまま運転してはならない12タンクトップまたはドゥーラグを巻いて出かけてはいけない13大きな音楽をかけて車に乗ってはいけない14白人女性をじっと見てはいけない15警察に職務質問されたら反論してはいけない。協力的でありなさい16警察に車を停止させられたら、ダッシュボードに手を乗せて、運転免許証と登録証を出してもいいか、と尋ねなさい。

ウェルチさんは「こんな社会を変えなければいけない」と思い動画を投稿したという。

警察に車を止められたら、日本では胸ポケットから運転免許書を取り出して差し出す。米国の黒人男性が同じことをすると危険だ。警官たちが「胸ポケットに隠した拳銃で撃ってくるかもしれない」と誤解し、先に銃撃する可能性があるのだ。したがって、まず両手を上げて争わない意思を表明し、「免許証は胸のポケットにあります。どうぞ取ってください」と言わねばならない。警官と黒人男性の緊張関係がずっと続いているのは、根強い黒人差別とともに、米国が銃社会であることが問題である。ニューヨークタイムズ紙によると、2018年末の時点で全米には3億丁の銃があり、年間で約4万人が銃で命を落としている。スーパーマーケットで銃が売られていて、その値段は戦争にも使われるアサルトライフル(自動小銃)で1500ドル(約16万円)、ピストルで200ドル(約2万2千円)だ。米国では毎年のように中学校や高校で銃乱射事件が起きて、尊い若者の命が奪われている。だから国民が立ち上がり、「日本のように銃のない社会を」と銃規制を求め続けている。この国民運動を押さえつけて大統領以下、国会議員にロビー活動を行い、銃規制をさせないようにしているのが、全米ライフル協会だ。トランプ大統領はこの全米ライフル協会から巨額の献金を受けている。だから高校での銃撃事件直後にトランプは「先生にも銃を持たせろ」などとツイートし、銃規制とは真逆の政治を続けている。米国は戦争中毒国家で、大量の武器を生産してきた。アフガンやイラクの紛争地では、かつて主流だったロシア製のカラシニコフ銃が、今や米国製のM16銃に切り替わっている。「テロとの戦い」を名目に戦争を続け、武器を作りすぎてあまった銃が、米国の一般市民に入る。「誰が銃を持っているかわからない社会」を取り締まる警察官も恐怖に襲われるのだろう。だから「正当防衛」を隠れ蓑にして先に発砲するのではないか。

最後に「根強い黒人差別」について一言。

私はアフリカ中西部のアンゴラで「奴隷博物館」を取材したことがある。15〜17世紀の大航海時代、ポルトガル人がアンゴラにやって来る。彼らは弓矢や銃で人々を襲い、首輪や手錠で拘束した後に(写真)、船にギューギュー詰めにしてブラジルへ送った。アメリカ大陸に「輸出」された世界初の黒人奴隷はアンゴラ人だったのだ。サッカーの神様ペレやレゲエのボブマーリーなどのルーツはアンゴラの可能性が高い。

地図を見てもらえればわかるが、アンゴラの首都ルアンダからブラジルのサルバドールまで一直線。つまり夜空に浮かぶ星や月の位置から緯度がわかるので、西へまっすぐ進めばブラジルに到着できる。奴隷たちはなぜブラジルへ送られたのか?

それはコーヒーと砂糖。当時のヨーロッパではコーヒー文化が栄え、砂糖は貴重品だった。そしてブラジルのさとうきび畑では深刻な人手不足に陥っていた。

なぜ労働力が不足していたのか?スペインやポルトガル人が原住民のインディオを虐殺したから?確かに虐殺もあった。しかし決定的な要因は虐殺ではなくヨーロッパからの天然痘だった。新大陸にない伝染病がポルトガル人や黒人奴隷とともにやってきた。そして免疫を持たないインディオたちがバタバタと倒れ、南北アメリカは「土地はあるが人はいない」状態だった。「奴隷貿易」で巨万の富を得たポルトガルは我が世の春を謳歌する。「無料で略奪」した大航海時代から400年が経過した。今、その命は20ドル!である。BLAK LIVES MATTER 運動は、反トランプ運動に昇華している。米国は「ポケットに手を突っ込んで、タンクトップで散歩できる社会」に変わらねばならない。トランプ打倒を叫ぶ米国市民と連帯して、私たちは「トランプの下僕」である安倍政権を打倒しなければならない。

5日、米国のミネアポリスで黒人男性のジョージ・フロイドさん(享年46)が警官に首を押さえつけられて窒息死した。米国では毎年1千人以上が警官に射殺されていて黒人は白人の2倍、撃たれている。そして今回の事件のように、「拘束時に警官によって容疑者が死亡」する事例は、人口100万人あたり白人が0,9人に対して、黒人は3,66人。(グラフ)フロイドさんはコロナ禍で失業していて、ニセ20ドル紙幣を使ったという容疑で逮捕、そして殺された。「黒人の命は20ドルなのか!」。弟さんが議会で証言、その怒りは「BLACK LIVES MATTER」(黒人の命も大切)というスローガンになって全米から世界へと広がり日本でも大きなデモが行なわれた。

事件のあったミネソタ州は、実は米国の中ではリベラルであって、民主党が強い。前回の大統領選挙もヒラリークリントンがトランプを下している。さらに言えば、元難民でソマリア出身の女性議員イルハン・オマルが当選したのもこのミネソタ州である。つまり黒人差別が根強いといわれる南部の州はもちろん、比較的リベラルな北部の州でもこのような事件が起きてしまうのである。

「黒人青年が母から言われた16のやってはいけないこと」という動画がネット上に上がっている。南部ヒューストン在住で18歳のキャメロン・ウェルチさんが投稿したものでその内容は①手をポケットに入れてはいけない②パーカーのフードをかぶってはいけない③シャツを着ないまま外に出てはいけない④一緒にいる相手がどんな人か確認する。たとえ路上で会った人でも⑤遅い時間まで外で出歩かない⑥買わないものを触らない⑦たとえガム一つでも何かを買ったらレシートかレジ袋なしで店を出てはいけない⑧誰かと言い争いをしているように見せてはいけない⑨身分証明書なしに外に出てはいけない⑩タンクトップを着て運転してはいけない11ドゥーラグ(頭に巻くスカーフ)をつけたまま運転してはならない12タンクトップまたはドゥーラグを巻いて出かけてはいけない13大きな音楽をかけて車に乗ってはいけない14白人女性をじっと見てはいけない15警察に職務質問されたら反論してはいけない。協力的でありなさい16警察に車を停止させられたら、ダッシュボードに手を乗せて、運転免許証と登録証を出してもいいか、と尋ねなさい。

ウェルチさんは「こんな社会を変えなければいけない」と思い動画を投稿したという。

警察に車を止められたら、日本では胸ポケットから運転免許書を取り出して差し出す。米国の黒人男性が同じことをすると危険だ。警官たちが「胸ポケットに隠した拳銃で撃ってくるかもしれない」と誤解し、先に銃撃する可能性があるのだ。したがって、まず両手を上げて争わない意思を表明し、「免許証は胸のポケットにあります。どうぞ取ってください」と言わねばならない。警官と黒人男性の緊張関係がずっと続いているのは、根強い黒人差別とともに、米国が銃社会であることが問題である。ニューヨークタイムズ紙によると、2018年末の時点で全米には3億丁の銃があり、年間で約4万人が銃で命を落としている。スーパーマーケットで銃が売られていて、その値段は戦争にも使われるアサルトライフル(自動小銃)で1500ドル(約16万円)、ピストルで200ドル(約2万2千円)だ。米国では毎年のように中学校や高校で銃乱射事件が起きて、尊い若者の命が奪われている。だから国民が立ち上がり、「日本のように銃のない社会を」と銃規制を求め続けている。この国民運動を押さえつけて大統領以下、国会議員にロビー活動を行い、銃規制をさせないようにしているのが、全米ライフル協会だ。トランプ大統領はこの全米ライフル協会から巨額の献金を受けている。だから高校での銃撃事件直後にトランプは「先生にも銃を持たせろ」などとツイートし、銃規制とは真逆の政治を続けている。米国は戦争中毒国家で、大量の武器を生産してきた。アフガンやイラクの紛争地では、かつて主流だったロシア製のカラシニコフ銃が、今や米国製のM16銃に切り替わっている。「テロとの戦い」を名目に戦争を続け、武器を作りすぎてあまった銃が、米国の一般市民に入る。「誰が銃を持っているかわからない社会」を取り締まる警察官も恐怖に襲われるのだろう。だから「正当防衛」を隠れ蓑にして先に発砲するのではないか。

アンゴラ ドレイ写真.jpg最後に「根強い黒人差別」について一言。

私はアフリカ中西部のアンゴラで「奴隷博物館」を取材したことがある。15〜17世紀の大航海時代、ポルトガル人がアンゴラにやって来る。彼らは弓矢や銃で人々を襲い、首輪や手錠で拘束した後に(写真)、船にギューギュー詰めにしてブラジルへ送った。アメリカ大陸に「輸出」された世界初の黒人奴隷はアンゴラ人だったのだ。サッカーの神様ペレやレゲエのボブマーリーなどのルーツはアンゴラの可能性が高い。

地図を見てもらえればわかるが、アンゴラの首都ルアンダからブラジルのサルバドールまで一直線。つまり夜空に浮かぶ星や月の位置から緯度がわかるので、西へまっすぐ進めばブラジルに到着できる。奴隷たちはなぜブラジルへ送られたのか?

それはコーヒーと砂糖。当時のヨーロッパではコーヒー文化が栄え、砂糖は貴重品だった。そしてブラジルのさとうきび畑では深刻な人手不足に陥っていた。

なぜ労働力が不足していたのか?スペインやポルトガル人が原住民のインディオを虐殺したから?確かに虐殺もあった。しかし決定的な要因は虐殺ではなくヨーロッパからの天然痘だった。新大陸にない伝染病がポルトガル人や黒人奴隷とともにやってきた。そして免疫を持たないインディオたちがバタバタと倒れ、南北アメリカは「土地はあるが人はいない」状態だった。「奴隷貿易」で巨万の富を得たポルトガルは我が世の春を謳歌する。「無料で略奪」した大航海時代から400年が経過した。今、その命は20ドル!である。BLAK LIVES MATTER 運動は、反トランプ運動に昇華している。米国は「ポケットに手を突っ込んで、タンクトップで散歩できる社会」に変わらねばならない。トランプ打倒を叫ぶ米国市民と連帯して、私たちは「トランプの下僕」である安倍政権を打倒しなければならない。

関西のマスコミが「維新の宣伝部隊」のようになっているので、誰がコロナ危機を招いたのか、なぜ此の期に及んでもカジノ、都構想なのか、という本質的な問題が覆い隠され、「見せかけの人気」だけが先行している。そんな危機感から、「紙の爆弾」7月号に「吉村知事に騙されるな。維新が招いた医療崩壊」という記事を書いた。

GW明け、新聞各社が「新型コロナ問題への対応で最も評価する政治家」を尋ねたところ、吉村洋文大阪府知事がダントツの1位であった。これに比例して維新の支持率も上昇、共同通信の調査によれば8,7%の高い数字を叩き出し、6,9%にとどまった立憲民主を抜いて、野党トップに躍り出た。平然とウソをつき、公文書を改ざんした上に、巨額の税金を投じて虫の入ったマスクを配るアベ政権と比べれば、連日のようにテレビ出演してテキパキと「コロナ対策」を陣頭指揮するイケメン知事に人気が集中することは理解できる。しかし私に言わせればアベ政権が「カレー味のウ○コ」だとすれば、維新は「ウ○コ味のカレー」である。以下、この間の大阪で起きた一連の出来事を振り返って見たい。

維新は初動に失敗していた

今年2月27日、安倍首相は唐突に「全国全ての小中高校、特別支援学校について来週3月2日から春休みまで臨時休校を要請した」と発表する。専門家の意見も側近である萩生田光一文科大臣の意見も聞かない独断で、全国に無用な混乱を招いたことは記憶に新しい。そもそも学校に関して休むかどうかを決定するのは都道府県・市町村の教育委員会であり、首相の「要請」は越権行為である。こんなものは無視して現場の柔軟な対応で判断すれば良かったのだが、「日本全国ソンタク病」に侵されていた地方自治体は、この要請に従って「子どもの学ぶ権利」を奪うに等しい一斉休校に従った。ここでは一斉休校の是非はおいておく。指摘したいのは、この時点で東京オリンピックの延期は決まっておらず、予定通りの開催にこだわっていた首相でさえ、コロナの猛威に対して「一斉休校」を呼びかけざるを得なかった事実である。これに続く「全国一斉自粛ムード」の3月、大阪維新の会代表の松井一郎大阪市長が「花見の自粛はしない。屋外であり、注意しながらやってもらいたい」「コロナとうまく付き合って、社会を動かしていくことがわれわれの職務」と述べる。この時点で危機感ゼロ。そして3月20、21、22日の3連休が迫ってくる。「知事や市長の許しが出た。花見だ!」と、もし大阪府民が各地の花見会場に繰り出していれば、大阪は東京以上のクラスターが発生し、オーバーシュートを招いていただろう。

現実はどうなったか?―――。この「松井発言」を聞いた「8割おじさん」こと西浦博北海道大学教授があわてて資料を作成し、「今後3週間、大阪・兵庫の県内外の往来を自粛すべき。このまま放置すれば両府県だけで感染者が3400人、重症者は270人強になる」と警告した。ここで維新の会は方針転換する。吉村知事がテレビ出演し「3連休の3日間、大阪と兵庫の往来を控えてください」と発表する。この時から吉村知事は「安倍政権よりキツイ目の自粛要請」を呼びかけるようになり、あたかも「コロナと最先端で闘う知事」というイメージ作りに成功していく。しかし正確にはここでも吉村知事は失敗している。専門家が要請したのは「3週間」で「3日間」ではない。そして「大坂・兵庫の内外の往来」を自粛するように求められているのに、あたかも「大阪から兵庫にいかないでほしい」かのような訴えであった。この時のワイドショーで取り上げられたのは、「大阪市と兵庫県尼崎市の境界に住む市民」がテレビに出てきて、「この川(県境)の向こうに保育所があるんですよ。どうしたらいいの?」などの映像が流れた。つまり吉村知事は専門家の警告を「縮小解釈」していた。その結果、グラフに示すような感染者拡大を招いてしまった。大阪・兵庫の感染者は4月3日頃から急上昇する。コロナの潜伏期間は約2週間。3月20、21、22日の3連休で「緩んだ結果」がこのグラフに表れている。つまり3月まで大阪のツートップ、吉村・松井両首長の政策は「安倍政権よりひどかった」のである。安倍首相による全国一斉の休校要請は様々な混乱をもたらしたが、さらに酷かったのが松井市長による「気をつけて花見をしましょう」発言と「3週間を3日間に、府県内外の外出自粛を府県をまたがる移動だけに縮小した」吉村知事の責任が問われなければならないのだ。

そもそもこの10年で何が?

結論から言うと、大阪における医療崩壊、感染拡大を招いた背景にはこの10年に及ぶ維新政治がある。まずは4月3日の橋下徹元知事のツイッターを見てみよう。「僕が今更言うのもおかしいところですが、大阪府知事時代、大阪市長時代に徹底的な改革を断行し、有事の今、現場を疲弊させているところがあると思います。保健所、府立市立病院など。そこはお手数をおかけしますが見直しをよろしくお願いします」。

「今更反省しても遅いわ、あんたのおかげで過労死寸前や!」。現場の職員は憤っているのではないか。実際に橋下改革と称して彼が行ったことは、大阪府立病院の予算を大幅に削減、千里救急救命センターへの補助金3億5千万円の廃止、大阪赤十字病院への補助を廃止などなど。極め付けは府立公衆衛生研究所と市立環境科学研究所の統廃合と住吉市民病院の廃止だ。まさに感染症対策の司令塔となる研究所と、患者の受け入れとなる病院を次々と潰してきたのだ。その理由は?「大阪都になるから2つもいらない」。いわゆる二重行政というヤツだ。ONE・OSAKAという横文字で耳触りがいいキャッチフレーズを使い、不要不急のカジノと万博に血眼になる一方、大阪府民、市民の健康を守る砦となる分野を「今は平時だから必要ない」とバッサリ削減してきたのが維新政治だった。

この維新政治の背後にはさらにブラックな「日本がかかえる病魔」がある。それは橋本龍太郎、小泉純一郎内閣から延々と続いてきた小さな政府、いわゆる新自由主義政策である。かつて大阪市には28もの保健所があった。それを磯村市長時代、2000年に1か所に統合した。250万人もの巨大都市に保健所がたった1カ所!この大阪発の保健所切り捨て政策は全国に広がっていき、予算と人員が大幅にカットされた上でコロナ禍を迎えたのだ。今回のコロナ対策で、PCR検査の窓口になったのが保健所だ。「発熱が続けば帰国者・接触者対策センターに電話してください」と政府は言うが、対策センターは全国の保健所にあり、職員が総出で電話対応にあたっているのだ。なりっぱなしの電話に限りなくリストラされた職員体制。当然細やかで親身になった相談などできるはずもなく、その対応に国民の怒りが広がった。発熱しても検査を受けられなかった市民も、その対応に追われた保健所の職員も、どちらも被害者である。では、これは誰の責任か?日本ではこの20年、自己責任論が蔓延していた。「怠けている生活保護受給者に税金を使うべきではない」「儲からない市民病院は潰して民間に売り渡せ」。アメリカ製の戦闘機や原発、カジノに湯水のように税金を使いながら、一番肝心な医療・保健・福祉分野の予算を削り続けてきたのが、この20年間の日本であった。いわば「橋下改革」はその総仕上げ。ここまで振り返らなければ「危機の本質」「失敗の本質」は見えて来ない。本来なら大手メディアがこの20年にわたるリストラにメスを入れてきちんと総括し「ポストコロナの日本はどうあるべきか」について真面目な議論の場を提供しなければならない。しかしメディアのやっていることは真逆である。「国民を危機に晒してきた、つまりリストラを進めてきた人たち」の中心にいた橋下元知事や吉村知事を連日テレビに出演させて持ち上げているのである。

アンタらは橋下元知事、吉村知事、松井市長のプロパガンダ機関か!とでも言うべき関西マスコミが、ほとんど報道しない悲惨な現実。それは大阪市淀川区の市立十三市民病院だ。

4月16日、松井大阪市長が定例の記者会見で「十三市民病院をコロナの専門病院に指定する」と発表。市役所の担当部局や現場となる同病院に事前の相談も準備もない中での唐突な発表だった。実際に同病院の医師や看護師たちは「テレビのニュースで知りました」と証言している。この時点で入院患者約130名、通院患者は平均して1日500名。入院中の妊産婦やがん患者など全ての患者を他の病院へ転院させなければならなかった。「医療崩壊を防ぐためにはスピード感が大事。コロナの中等症患者の専門病院にします」と松井市長は言う。確かにスピード感は大事だが、運営開始の5月1日までわずか2週間。「なぜ私たちが転院しなければならないの?」泣き出す妊産婦や予定されていた手術をキャンセルされたがん患者など、現場は大混乱になった。しかしその後の現場からの告発を聞いて私はのけぞりそうになる。

マスクも防護服もない「コロナ専門病院」

十三市民病院が立地する淀川区は選挙区でいえば大阪第5区。この地域でれいわ新撰組から立候補を予定している大石あきこ氏によれば「5月中旬まで、委託労働者に届いたマスクは1日1枚で、防護服は用意されてなかったのです」。えっコロナ専門病院で働く人にマスクも防護服もなかったの?大石さんの元に現場からの悲痛な声が寄せられ始めたのが4月後半、GW前のこと。十三市民病院は市立ではあるが、その運営は「大阪市民病院機構」という独立行政法人だ。この10年に及ぶ維新政治によって民営化、外部委託化が進んでいる。私たちは病院と聞くと医師や看護師を思い浮かべるのだが、現実は事務や清掃、給食や警備など様々な労働によって支えられている。例えば「滅菌室」で働く労働者は、外部からの契約社員で、手術で使ったメスや血のついた白衣などを消毒し、安全に再使用するための貴重な仕事を担っている。コロナ以前、マスクは必要な時に必要な枚数が確保されていた。当然である。マスクは働く人を守るためだけでなく、入院、通院されている患者さんに伝染させないための安全弁である。しかし今は1日1枚。大阪市からの供給はなく、自腹でネット注文して確保しなければならなかった。そして防護服である。有事に備えて備蓄しておくべきだった行政責任を棚にあげて「使用していない雨合羽がある人、在庫がある人は大阪府、大阪市に寄付して欲しい」と松井市長が呼びかけ。そして10万着の雨合羽が届いた。メディアは「吉村知事、松井市長の素晴らしい提案で医療現場は救われた」と、美談として報道する。しかし現場労働者によると、「雨合羽は着脱の際にコロナに触れてしまう」ので危険なのだそうだ。防護服は規格が決まっており、袖口や足元などの部分も脱ぎやすくなっていて、しっかり研修を受けて練習すれば感染するリスクは小さい。雨合羽はそんな風には作られていないし規格も決まっていない。さらに防護服はウィルスが付着するように作られていて、使用済みの防護服とともにウィルスは除去できる。雨合羽はウィルスを弾くので、病院内に残るのだ。病院内にウィルスが残れば院内感染の確率が跳ね上がってしまう。

さらに問題なのは、市役所や府庁に届いた10万着の雨合羽、誰がどのように仕分けをしてどう保管しているのか?ということ。コロナ対応で大変な時に市役所や府庁の職員に余計な労働を強いたのではなかったか?コロナが収まった時に、この雨合羽をどうするのか?保管費がかかるし、最終的に焼却処分なれば、それは税金で焼くのではないか?

阪神大震災の時にメディアが「紙おむつが足りません!」と叫んだ翌日から山ほど紙おむつが届き、体育館に紙おむつが満載になった現場を取材したことがある。確かに雨合羽を寄付した市民には罪がないし、その気持ちは尊いものだ。しかしそれが結果として逆の効果を呼ぶ場合がある。吉村知事、松井市長がとっさの思いつきで「逆の効果」を呼んだとしても、メディアは後追い取材をしないから「言った者勝ち」の世界が延々と続いてしまうのではないだろうか。

そして差別の構造が作られていく

「私たち下請けの労働者は透明人間なのですか?」。滅菌室で働く契約労働者は待遇の格差を訴えている。医師や看護師、つまり正規雇用の労働者には少額でも危険手当が支給されるのに、外部委託、非正規雇用の労働者には危険手当は出ていない。メディアも全く注目しない。医療事務に携わる人には、「滅菌室」より酷くてマスクは1週間で2枚だ。病院内に厳然と存在するヒエラルキー。賃金や処遇など、もともと格差があったがこのコロナ問題で格差はもはや差別的といっていいほど拡大している。

マスクや防護服が「それなりに」支給され始めた正規雇用者も大変だ。「コロナ専門病院に指定しました」。松井市長が会見で述べてから、たくさんの看護師が退職してしまった。ただでさえリストラされ続けてきた医療現場、さらに少なくなった人員で現場を回さねばならない。着任したばかりの医師は「十三市民病院で勤めています」という報告を親には告げていない。心配させたくないからだ。

そして病院職員は心無い言葉や態度に傷つくことになる。十三市民病院前のバス停留所で職員がバスに乗ろうとしたら「コロナがうつるからバスに乗るな。扉を閉めてくれ」。保育所に子どもを預けている職員は暗に「別の保育所に転園してほしい」と頼まれる。新聞配達員から「集金をためらいました」と告白される。郵便物は玄関まで。病院内には配達してくれない。周辺住民が近づかないので、病院前のコンビニは閉店する。患者やその家族にとって大切なタクシーはやって来ない...。

かくして吉村、松井のツートップだけが連日テレビに登場し「維新の二人、よー頑張ってはるなー」というイメージだけが植え付けられていく。おそらく吉村知事の背後で知恵を付け、テレビでの立ち居振る舞いを指導しているのが、橋下元知事だろう。彼は「公務員は一律支給の10万円を受け取るな」と主張する。使い古された「公務員バッシング」で市民を二分して、団結させないようにする手法だ。維新の「身を切る改革」で病院がつぶされ、保健所がリストラされてきた。本来なら国民、市民の怒りはアベ政権と維新に向かうべきだ。しかし公務員を叩くことによって、国民の怒りを公務員にすり替える。大変狡猾な「政治家かタレントかわからない人物」によってこの国が牛耳られていく。最後に私の結論を述べる。

この国を操っているアメリカや自民党の長老、高級官僚や財界たちは、「安倍首相の賞味期限が切れた」と考えている。では次をどうするか?進次郎はまだ若いし、岸田文雄政調会長では頼りない。小泉純一郎で騙し、安倍晋三で騙してきたこの20年。さらに国民を騙して選挙に勝てるのは橋下元知事だ。彼と吉村知事、小池都知事で新党を作らせて、自民と連立させる。そうすれば従米、貧困層虐待、財界優遇の政治が続く。だからテレビで売り込め!アベ政治がカレー味のウ○コとすれば維新はウ○コ味のカレーだ。この事実に気付く人を増やさねばならない。れいわ新撰組と共産党、社民党が核となり、そこに立憲民主や国民民主の「まともな議員たち」が加わって選挙を闘う。そして野党連合政権に作り変える。この図式にならないと日本は再生しないと考えている。

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